ロック自叙伝 その154
“Make Me Smile”だけで、4つの異なるキーが聴こえる。
イントロはAbのキーで、Absus6の和音がピボットコードとして上手いこと橋わたしした後、Aメロで Cm に変調する。
インタールードではキーはEmにシフトする。このセクションのテリーキャスのギターソロは、ジャズによくあるクラシックホーンリフのような、燃える16分音符のアドリブフレーズでセクションを終える。作者のジムパンコウはバンドのブラスアレンジャー。
セカンドアルバムのハイライトであるロック組曲"Ballet for a Girl in Buchannon”は分解され、2枚のシングルに仕立て上げられてしまった。
バンドの知らないうちに、レコード会社はまず"MakeMeSmile"
セクションを抜粋し、これまでバンドを無視していたAMラジオ局にプッシュした。
バンドは、ラジオ再生のために切り刻まれた音楽の傑作を聴いて複雑な感情を抱いたが、この曲が全米9位を記録する最初のヒット曲になった。
シカゴの曲をヒットに変えるための錬金術を学んだレコード会社は、"Colour My World"に続いてファーストアルバムにも戻って、さらに "Does Anybody Really Know What Time It Is?" と "Beginnings" "Questions 67 and 68" を編集してシングルとしてリリースしチャートインさせた。
「荒稼ぎの味しめたんやな。」
アルバムバージョンを聴いてからシングルレコードは白けた気分になったが、今夜聴くのはそのどれとも違っている。