没後100年 宮川香山 | アンクルコアラのブログ

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最近明治時代の工芸が注目されている。現代では見ることの出来ない、当時の工芸職人達の超絶技巧の素晴らしい作品展が開催されるようになったからだ。

安藤緑山、並河靖之、柴田是真、正阿弥勝清など、これまで知られていなかった名工達の作品が簡単に見られるようになったのは有難いことだ。

今、サントリー美術館で開催されている「没後100年 宮川香山」も、明治時代を代表する超絶技巧の陶工、宮川香山の記念展である。
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宮川香山は、幕末の京都に生まれた陶工で、明治維新後、横浜に出て真葛焼を起こし、万国博覧会などで多数入選し、海外で大変な評判を取った。

何と言っても陶器の表面を、生き物などのリアルな浮彫りで装飾する「高浮彫」が世界を驚嘆させたそうだ。

だから香山の作品は殆どが海外に流出し、日本に残ったのはごく僅かしかなかった。

今回の記念展は、香山献金の第一人者である田邊哲人氏が、海外から相当な香山作品を買戻して収集したコレクションを一堂に会したものだそうだ。

確かに「高浮彫」がズラッと並ぶ様は壮観である。有名な蟹や眠り猫は勿論、鳥や蛙も今にも動き出しそうだ。
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ちなみにこの展覧会、一部ではあるが写真撮影OKのスペースを設けている。SNSなどに展覧会情報がアップされて知名度が上がるのを期待しての措置かも知れないが、美術の社会普及のためにも結構なことである。
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「高浮彫」ワールドに圧倒され、多少疲れたが、最後のコーナーはオーソドックスな磁器の展示となりホッとした。

晩年の香山は釉下彩の技法を使った磁器の製作に専念したそうだが、ここでは釉下彩の超絶技巧作品群に圧倒された。高浮彫のようなケレン味はないが、さり気ないところに超絶技巧を駆使した品格ある磁器の数々。私には高浮彫よりもこちらの方が合っているように思えた。
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東京ミッドタウンの桜はまだ満開には程遠かった。
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