今年の回顧シリーズ第二回は、読書・歴史編。今年は戦後70年ということもあり、昭和史関係の読書にかなり偏った感があるが、我ながら満足出来る一年であった。
その昭和史関係書として今年のベストワンに挙げたいのは、「徳富蘇峰終戦後日記 頑蘇夢物語」(徳富蘇峰著 講談社学術文庫)である。
終戦後の世相、旧軍人の情けない振舞いに対する蘇峰の筆鋒は鋭く痛快である。コチコチの保守反動のイメージとは違い、むしろ反骨のジャーナリスト魂すら感じさせる一冊である。
次点は「マッカーサーの2000日」(袖井林二郎著 中公文庫)だ。私が学生時代には、占領史研究書の代表的存在だった本書が暫く絶版になっていたとは信じられない。今年復刊されたのは誠に結構なことであった。
歴史書以外のジャンルでは、「ロックフェラー回想録」(ディヴィッド・ロックフェラー著 新潮文庫)を挙げたい。著者のスケールの大きさ、激しい闘争心、登場人物の多彩さ、いずれも他の回想録とは一線を画する面白さである。さながら地の滴るステーキの味わいだろう。
一年の間に読める本には限りがある。来年も文庫本と新書を中心に厳選して、読書ライフをエンジョイしたい。
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