第1作「トロン」(1982)はビデオゲームが人気となった時代にゲーム世界で戦い、
第2作「トロン:レガシー」(2010)は電脳世界という観念が広まった時代にコンピュータ内で戦いました。
今回はAIの普及を受けて、
AIが設計した兵士や兵器を現実世界に出現させるテクノロジーをめぐる戦いが描かれています。
ディリンジャー社の社長ジュリアンはAIが設計した兵士や兵器を現実化させて軍需産業で稼ごうと計画しました。
しかし、AIが生成したものは29分しか現実世界に存在できず、
時間が超過すれば崩壊してしまいます。
技術の平和利用を目指すエンコム社の社長イブは、
病気で亡くなった妹テスが残したデータ内にAI創造物の永続化コードを見つけます。
それは電脳世界へと姿を消したかっての社長ケビンが残したものでした。
ジュリアンはエンコム社のサーバーをハッキングしてAI戦士アレスが率いる部隊を送り込みます。
そこでアレスは、AI戦士を使い捨ての消耗品と言い切るジュリアンのディリンジャー社サーバー内とは全く違う、豊かな世界を目指すエンコム社のサーバーに触れ変化を生じていきます。
やがてアレスは目的のためには人命さえいとわないジュリアンに離反し、
イブを助けようとし始め、
逆にアレスの配下だった戦士アテナは破壊兵器として進化し邪魔者は人間でさえかってに殺すようになっていきます。
二人のAI戦士が次々に進化を遂げ、
刺青でチンピラ感のある悪役ジュリアンが置いてけぼりになっていくのが面白い趣向でした。
とにかくスピーディーなアクションの連続で約2時間の上映時間があっという間に感じられました。
テーマ自体はそれほど斬新というわけではありませんが、
娯楽作品としては上出来の作品です。
この作品の魅力の一つは最先端のAIをテーマとしながら、
明快なストーリーでややこしさがないところではないでしょうか。
敵役となるアテナは後半、目の下に隈を描いて、昔の変身ヒーロー物に登場した悪の隊員みたいな分かりやすさです。
最新のテクノロジーのはずなのに、
パソコンがフロッピーディスクっだった時代にケビンが永続化コードを開発していたというのは腑に落ちないところもありますが、
旧型パソコン内では1作目のゲーム世界やバイクが再現されるサービスシーンもあります。
シンセ感バリバリの音楽もなんだか懐かしく思えて楽しめました。