この作品、キャラクターデザインが独特なことは予告編を見て、
ある程度分かっていたつもりだったのですが、
予想を超えた強烈さを感じました。
主人公は7頭身くらいかなと見えて、
8頭身を超える細長いキャラはともかく、
造船会社社長はハンプティダンプティにしか見えない体形で、
2頭身くらいに見える巨顔キャラも普通に混じっています。
動作の描写も極端で緊張しているとはいえ取材する記者が砂糖もコーヒーも床にぶちまけていたり、
人に対応するときも鼻クソをほじり続けて相手になすりつけたりする大使が登場します。
その分、サカナ感丸出しのヒロインが可愛らしく見えるという効果はありました。
物語は人間と魚人族が共存する時代が舞台で、
一人の記者が偶然出会った両族和解のきっかけとなった伝説の人物から
真実の物語を聞くというかたちで展開します。
スクリューによる海洋生物の被害が広がり、
人間と魚人との対立が深まるなか、
主人公・ステファンはスクリューを使わないジェット航法を提案しますが、
採算効果の観点から否定されてしまいます。
そんな折、ステファンは魚人の姫君から求婚されます。
心当たりもなく、魚人をサカナ呼ばわりする差別感の持ち主であるステファンは戸惑いますが、
周囲が政策的に大騒ぎして、
自身の立身出世もかなうことから、これを受け入れ同居を始めます。
その後、二人の関係は近づいたり離れたりを繰り返しますが、
ステファンの差別感を覆す決定的な描写のないまま進むので、
クライマックスの蘇った少年時代の記憶による心の変化という感動的なはずの展開が唐突に感じられてしまったことが残念でした。
それだけなら全体的には良作という感想だったのですが、
さらに残念だったのはステファンが両親を亡くす事故の描写でした。
船のエンジンを止めずに海中作業を行っていたと思わせる展開で、
素人でもそんなことしないだろうと思えます。
さらに驚かされたのが、
主人公の父親である船長が急いでエンジンを止めるかと思いきや、
いきなり海に飛び込んで被害を拡大させてしまったことで、
正直開いた口がふさがりませんでした。
作者としては主人公がスクリューを否定して新航法を開発する需要な描写としたかったのでしょうが、
個人的には海に生きる人たちへのリスペクトが感じられず納得できませんでした。
感動的な部分もあったので、とても残念に思います。
オフィシャルサイトにも映画紹介サイトにも脚本家の表記がないことにも違和感を覚えました。