予告編を見て迷宮のようなトラップだらけの屋敷から脱出を試みるのかと思ったのですが、
実際にはそこまでの仕掛けがある家ではありませんでした。
ヒロインの二人、バーンズ(ソフィー・サッチャー)とバクストン(クロエ・イースト)はモルモン教の宣教活動で街を回っています。
ある日、二人は一見紳士風のリード(ヒュー・グラント)にだまされて
(男一人の家屋には入らない規則ですが、リードは妻がいると嘘をつきます)
彼の家に誘い込まれてしまいます。
リードの正体は、もっともらしい宗教論を展開して相手を洗脳し、監禁して支配下に置こうとする異常者でした。
二人とリードとの戦いが、
どちらかというと会話による知的対決を中心に展開します。
頭脳明晰なリードに対し、バーンズも鋭い観察眼で対抗していて、
犠牲者が間抜けに見えてしまうホラー映画が多い中で、完成度の高い脚本と感じました。
多くのラブコメに出演し、さわやかなキャラクターを演じることの多かったヒュー・グラントがにこやかに登場し、
次第にその狂気の正体を現していく不気味さが一番の見どころです。
対する二人の若手もしっかりした演技を披露して盛り上げていました。
ひりつくような緊張感とまではいきませんが、
水準以上のサスペンスホラーに仕上がっています。
双方とも宗教の力を信じ切ってはいないことがポイントになっているように感じました。
エンドクレジットに流れるオリジナルよりもかなりテンポを落としたボブ・ディランの名曲「天国への扉」のカバーが、呪文のように聞こえて印象的でした。