うれしいことに私がリアルタイムで読み進めている数少ないコミックのひとつ、
「黄泉のツガイ」のアニメ化が決まりました。
荒川弘最新作なので時間の問題とは思っていましたが、
原作の進行を待っていたのかもしれません。
「鋼の錬金術師」の初回アニメ化のようなケースが認められる
時代ではなくなったということなのでしょう。
以下ネタバレあり
ツガイとは2体一組の、一種の精霊で、
座敷わらしも男児女児のペアで登場してレジェンド級と呼ばれたりします。
このツガイと契約した者がツガイ使いです。
契約を解除しないままツガイ使いが死ぬと
ツガイは野良ツガイとなってしまいます。
永く契約者が現れず朽ち果ててしまうツガイもいます。
偶然犬と契約して助かったツガイとかユーモラスなケースも描かれていました。
昼と夜とを分ける時間に生まれた双子は、
「解」もしくは「封」の力を持つことができ、
その力を利用すれば地上の覇者になれると伝えられています。
しかし、その力を得るためには一度死んで
黄泉の国で契約を交わし生き返らなければなりません。
過去には黄泉から戻れなかった者もいます。
物語は双子のひとりユルを中心に進みます。
ユルは結界に閉ざされた東村で暮らしていましたが、
謎の集団の襲撃を受け、脱出して都会に出ます。
双子のもう一人、妹のアサは村の座敷牢で”お勤め”をして暮らしていたのですが、
襲撃者の一人はアサを名乗り、ユルに絶対的な兄妹愛を示します。
この作品の面白さの一つは、多くの登場人物が二面性を感じさせ、
単純に善人、悪人と分けられないことだと思います。
悪意はなさそうに見えても、力を利用すためにユルの死を望む者も少なくありません。
ツガイ使いの一人、ガブちゃんと呼ばれる少女は、
アサの居場所を守るという強い意志を持っていますが、
冒頭の村襲撃では多くの村人を殺害しています。
絶対的な正義ではなく自らの正義を貫く者たちは、ある意味清々しいのですが、
ストーリー的には油断できず緊張感を生んでいます。
独特なユーモアも魅力の一つで、
始めて都会に出たユルは蛮族と呼ばれる野生児ぶりを発揮し、
やさぐれちゃったという眼帯のアサは一見クールなキャラクターですが
兄様ユルに対すると豹変してベタベタになります。
ツガイたちの中にも風変わりでユーモラスな者が多くいて
楽しい見せ場を作り出していました。
「解」と「封」を狙って対立するのは東村の関係者と、
東村を出て都会で財を成した影森家でしたが、
巻数が進むにつれ滅びたはずの西の村の残党が暗躍していたことも分かってきました。
ユルの望みは、アサとともに行方不明の両親を探し出し、
家族そろって平穏の暮らすことですが、
はたしてその夢をかなえることができるのか、
今後の展開に目が離せません。
今回のアニメ化でどこまで描かれるのかも気になるところです。