アメコミ実写化最低作?シャキール・オニール主演「スティール」 | 隅の老人の部屋

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原題 ; STEEL
製作年; 1997
監督 ; ケネス・ジョンソン
脚本 ; ケネス・ジョンソン
音楽 ; マーヴィン・ウォーレン
出演 ; シャキール・オニール、アナベス・ギッシュ、リチャード・ラウンドツリー

(ネタバレあり)

プロ・バスケットボールの人気選手シャキール・オニールが製作主演したDCコミックス実写化のB級ヒーロー・アクションです。
ちなみにバスケットの超人であるシャキール・オニール演ずる主人公が、ゴミ箱に物を投げ捨てようとして外すのが繰り返しギャグになっていて、一種のセルフ・パロディーになっていました。
製作にはなぜか「鬼警部アイアンサイド」や「愛のコリーダ」で音楽界の巨匠だったクインシー・ジョーンズも加わっていたりします。

米海軍のジョン・ヘンリー・アイアンズ(シャキール・オニール)は新合金や音波砲のテストに参加していた。
同隊員のナサニエル・バーク中尉(ジャド・ネルソン)が音波砲の威力を最大値にして発射したため、視察していた議員は死に、ジョンの恋人で科学者のスーザン・スパークス(アナベス・ギッシュ)は半身不随となってしまう。

音波砲の威力に喜ぶ軍に疑問を抱いたジョンは退役してロスに戻る。
生まれ育った街ではマーティン少年や老婆グランマ・オデッサが歓迎してくれた。
軍法会議で免職になったバークは、武器売買を裏稼業にしているダンタスティック社に音波砲のデータを持ち込む。
その結果、音波銃を使った強盗事件が発生。
居合わせたジョンは、逃げ遅れた犯人の一人を追う。列車が往来する操車場構内での追跡なのだが、今ひとつ緊張感が盛り上がらない。

結局逃げられたジョンは音波銃が使われていたことを軍に通報するが、埒が明かず自分で捜査を始める。
車椅子の身となったスーザンは、すっかり落ち込んでいた。
自信を失ったスーザンをジョンは無理矢理病院から連れ出して元気づける。
ジョンはスーザンとジョー叔父(リチャード・ラウンドツリー)の協力で対抗できる兵器を作ろうする。
出来上がった新兵器は巨大ハンマー。一方、ジョンは鋼鉄の鎧を作り上げていた。
ここに正真正銘体力勝負のヒーローが誕生した。

街の強盗をどやしつけて被害者に奪われた財布を取り戻したりする。
鎧はマシンガンで撃たれても平気。
しかも鎧全体が電磁石になっていてチンピラのナイフや銃、ついでにゴミ箱の蓋を吸い寄せちゃう。
警察が駆けつけたらビルからビルへと跳んで逃げ出す。
相当に重量があるらしく、ワイヤで降りようとしたら重さで切れちゃったりして影のヒーローも楽じゃない。

オートバイでパトカーを振り切ると、スーザンは秘密基地をゴミの山に偽装していた。これぞまさしく掃き溜めのヒーロー。
ストリートギャングを影で操るバークは、連邦準備銀行を襲撃させる。
だが、そこにもジョンが駆けつけた。さすがのジョンも音波砲には弾き飛ばされてしまい逃げられてしまう。
この襲撃の映像がニュースで放送され、新兵器は世界中の戦争屋で話題の的となった。
バークは、自分が流したニュース映像で宣伝し、インターネットで買い手を捜そうと計画していた。
自宅にSWATが踏み込みジョンは逮捕される。だが、かってジョンに助けられた人々が彼をかばって面通しで嘘の証言をしたおかげで無事釈放された。

スーザンはホームページで音波銃の取引場所を突き止めるが、敵に踏み込まれてしまう。ジョンとの通信を逆探知されたのだ。
ジョンは取引現場に踏み込むが捕まってしまう。しかもスーザンが人質になっていた。
集まった世界中のテロリストを相手に音波砲を売り込むバークをジョンが「俺のハンマーに仕込んだ武器の威力には適わない」と挑発。ハンマーの仕掛をいじらせる。
実はそれが鎧の電磁石のスイッチ。電磁石が作動してハンマーが飛んでくる。ジョンは労せずして武器を取り戻した。

隙を突いてスーザンが車椅子に仕掛けた武器で攻撃開始。戦争屋どもは逃げまどう。
しかも車椅子にはジェット噴射も装備されていた。スーザンは猛スピードで脱出する。
今度はマーティン少年を人質にするバークだが、これも失敗。
バークは、ジョンとマーティンを倉庫に閉じ込めて手榴弾を投げ込む。
手榴弾を投げ捨てられる場所は金網の上部に開いた穴だけ。ゴミの投げ捨ての失敗連続で自信を失っていたジョンは「苦手なんだ」とビビるが、マーティンのアドバイスによって初めてシュートを成功させる、というのが最大の見せ場。

バークは大型音波砲をジョンに発射する。ジョンは見事に跳ね返しバークを吹き飛ばした。
事件は解決し、一同はグランマ・オデッサの開店祝いをする。
スーザンは車椅子をパワーローダー式に改造していた。車椅子ごと立ち上がったスーザンをジョンは抱きしめるのだった。

シャキール・オニールは、この作品でラジー賞ワースト主演男優賞にノミネートされてしまいました。
Imdbの得点も不評な「スーパーマン4/最強の敵」の3.7や「キャプテン・アメリカ/帝国の野望」の3.3に比べても下回る3・0となっています。
ですが個人的には手作り感あふれる憎めないB級さが魅力で、けっこうお気に入りです。
見せ場の派手さはイマイチで、悪役も中途半端で弱いのですが、全体のおバカで脳天気な雰囲気が(ちょっとジム・ウィノースキーっぽくもあろますが)楽しく感じられました。
終盤に異様なノリを見せるヒロインのポジティブさも魅力です。
Imdbによれば製作費1600万ドルに対して世界興収180万ドルと空前の惨敗ですが、万が一続編が作られていたら車椅子をモビルスーツに改造して参戦していたかもしれませんでした。
なぜだか分からなりませんがビデオ版ソフトの巻末には「バッグス・バニー」の短編アニメ「王様の料理人」が収録されています。