映画感想 ルパン三世最新作「LUPIN THE IIIRD THE MOVIE 不死身の血族」 | 隅の老人の部屋

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(ネタバレあり)
スピンオフ的に製作された「次元大介の墓標」(2014)から「銭形と2人のルパン」(2025)までの一連の作品の世界観を引き継いでいます。
冒頭では過去作品がかいつまんで紹介され、
それらの事件の黒幕がいるとされる孤島にルパン一行が向かうところから物語が始まります。
世界の極秘事項とされる島の存在を、どうやって突き止めたのかは描かれていません。
「銭形と2人のルパン」はまだ観ていないので、そちらで描かれているのかもしれません。

島には不死身の男ムオム、ムオムの通訳を自称する謎の少女サリファ、
そしてミッションに失敗して島に捨てられた無数の元殺し屋がいます。
殺し屋たちは、一部の主要キャラを除いてゾンビじみた存在になっていて、
遭難したルパン一行と銭形警部が死闘を繰り広げる展開となっていました。

戦闘描写は迫力がありますが、
ストーリーがやや中途半端な印象なのが残念でした。
島自体、世界の大物たちが重要視して騒ぐわりに、
不要になった殺し屋の廃棄場程度にしか見えず、
もう少し島の役割が説明されても良かったと感じました。

燃え尽きても復活する敵の秘密をいかに暴いて倒すか、
というワンアイデアに頼りすぎたのではないでしょうか。
サリファの存在も、目的がよくわからないままになっています。
強敵に見えた弓を使う殺し屋も、対決シーンが無いまま終わってしまうのが残念でした。

余談ですが不死身なのは1体だけなので、血族ではありません。

真の黒幕は他にいるという設定なので、ストーリー自体はあまり進みません。
黒幕には懐かしいキャラクターが復活します。
もしかしたら「サイボーグ009」における黒い幽霊(ブラックゴースト)のように
不滅な悪の存在なのかもしれません。

山田康雄のモノマネから始まって長い時間をかけルパン三世を自分のものとした栗田貫一ですが、
口調の中に老いを感じさせる部分が出てきて少し心配です。
ムオム役の片岡愛之助は中盤以降意味不明の言語だけになって本領が十分発揮できず、ちょっと気の毒でした。
サリファ役の森川葵は、生意気な謎の少女になり切っていて感心しました。