映画感想 自伝青春コミック実写化「かくかくしかじか」(ネタバレあり) | 隅の老人の部屋

隅の老人の部屋

映画やドラマの紹介。感想を中心に
思い出や日々の出来事を書き込んでいこうと思います。

東村アキコによる自伝コミックの映画化で、原作者自身が多方面で映画製作に関わっていることもあって、完成度の高い作品に仕上がっています。

原作は読んでいなくて、予告編の竹刀をよけるマトリックスみたいな動作や、襟首つかまれて引っ張られる描写から、
ドタバタ色が濃いのかと思っていましたが、しみじみとした描写も丁寧に描かれて奥行きを感じさせます。

冒頭の宮城県県民気質の描写からほのぼのと楽しくて、まず引き込まれました。
日々、絵を描き続けることを推奨する日高先生は、持続力の人なのだと感じます。
一つのことを長い年月にわたって研鑽することは、簡単なようで難しく、
三日坊主人間の自分は反省しきりです。

終盤でも「書け」とつぶやき続ける姿は感動的でした。
対してヒロインの明子は、仕事いやさにボールペンで初めて描いた漫画で入賞を果たす、天才気質なのだと思います。
コミックの世界についてそれほど詳しくはないのですが、センスの良さで大人気を博した作家の中には2作目以降が続かずに消えていった方も多いように感じています。
東村アキコが長年にわたって活躍を続けている原動力の一つとして、
日高先生の絵画教室で身につけた持続力が働いているのではないかという気がしました。

大泉洋は、暴力的なようで、実は人を疑わない純真さを持った人物像を巧みに表現してます。
本人の持つ魅力がうまい具合に生かされていると感じました。
永野芽郁も、ちょっとぐうたらだけど才気を感じさせるヒロインの高校生、大学生、社会人、成功した漫画家と微妙な年齢の変化を丁寧に演じ分けています。

東村アキコ作品は読んだことがないのですが、実写化された映画やドラマはいくつか見ていて、
中でも菜々緒の初主演作となった「主に泣いてます」(2012)がお気に入りです。
菜々緒のスタイル良すぎる子泣き爺コスプレも楽しかったのですが、
安達祐実の振り切った演技ぶりが大好きでした。

余談ですがワンシーンのみカメオ出演の斉藤由貴が、ストーリーに全く関係ないのだけど妙に物の怪じみた雰囲気を出していて強く印象に残りました。