殺し屋の霊に乗り移られたヒロインが抗争に巻き込まれていくハードアクションです。
「ベイビーわるきゅーれ」シリーズの阪元裕吾監督が脚本を執筆、
アクション監督の園村健介が監督したというだけあって、
インディーズ系の低予算作品ながらアクションもギャグもキレが良く楽しめる作品に仕上がっています。
設定としては「新桃太郎」(1987)のリン・シャオロウが主演した台湾映画「ゴーストパワーを持つ少女」(1989)とかなり似ていますが、
「ゴーストパワーを持つ少女」は良くも悪くも当時の香港や台湾のB級映画によくある
その場その場のノリでベタすぎるギャグをぶっこむ作り方をしているので
全体の完成度は高いとは言えません。
本作では髙石あかりが早口で二人の人格のセリフを使い分けて演技の上手さを見せ、
「ベイビーわるきゅーれ」で培ったアクションも冴えています。
特に激しいアクションの部分は三元雅芸が担当していて構成もうまく決まっています。
日ごろからストレスを溜めていて反社とは係わりたくないと言いながらも
自ら渦中に飛び込む選択をしてしまうヒロインのキャラクターも面白く感じました。
ただ、クライマックスの戦いの最中にヒロインが自分の力だけで最強の殺し屋を気絶させるのはちょっと無理に思えました。
例えば幽霊の工藤が呻き声をあげてヒロインのふみかが名前を呼んだため殺し屋が気をそらしてその隙を突かれる、というような展開を作れば説得力が増したのではないかと思います。
ハリウッドリメイクが決まっているそうですが、
すでにハリウッドで実績のある「ベイビーわるきゅーれ」の相方・伊澤彩織が何らかの形で関わってくれたらうれしいと思います。