孤独死した母親の話です。
現場に行ったその日の夜、リビングから裏庭に繋がる窓が明るく光ったました。
何事か?とブラインドの隙間から覗くと光は消えました。
人感センサーライトを設置してますが、鉄柵で誰も入って来れないはず。
勝手に母親が来たんだなぁと思いました。
後にも先にも無人のドックランに明かりが点いたのはこの時だけです。
親子関係が証明出来ないと部屋に入る事も出来ず、DNA検査の結果が出るまで何も出来ません。
その間、母親は警察署の冷凍室で安置されてました。
3週間ほどで結果が出まして「親子」と認定。
なにかと話題の旭川医大で数名の教授たちが集まってデーター分析し、一致するか否かをジャッチしたそうです。
外傷もなく事件性無し。
死因を尋ねましたが、腐敗が激しく細かな司法解剖は出来ないと言うのです。
ここはドラマの様な展開ではないんですね。
数%は「違ったら良いなぁ」と言う気持ちがありましたが、そんな劇的な事はないだろうと諦めていたので驚きません。
問題はこれから何をどうしたら良いのかが全く分からず、途方に暮れてました。
担当刑事さんには「相続放棄も可能です」と言われ二、三日本気で考えました。
放棄するとなると入居時に保証人なった叔父の配偶者に行くのかなぁ・・・
ましてや自社で「遺品整理士協会」に加盟して居ながら自分の事すら出来ないってどうなんだろう・・・
なにせ十数年間消息不明で会って無かった母親の状況が全く分かりません。
借金があれば、それも相続、ましてや遺産など有るとは思えない。
子供頃から親を見ていて他人様にお金で迷惑を掛けるような人では無かったので
悩みに悩んで、最後くらい親孝行しようと覚悟を決めて相続する事にしました。
日を改めて警察署に出向き、警察指定の病院にて「死亡証明書」を貰いに行く事からスタートです。
この証明書発行に3万円が掛かります。
そして警察からやっと部屋の鍵を渡され遺体の引き取りを早くするように急かされました。
葬儀をするにも交友関係が全く分からず、まずは死亡証明書を持って市役所まで手続きに。
一度では済まず、何度も何度も市役所に通いました。
と同時に葬儀の手配です。
もし。自分がサラリーマンだったら会社を休まないと絶対に無理だなぁと感じました。
本当の大変さはここから先でした。
続く・・・