今から15年以上前、羊蹄山の麓の倶知安町という所に住んでいた時のことです。

近場をプラプラドライブしていて、ちょっと休憩しようと思い、比羅夫駅という無人駅に寄りました。

 

函館本線にあるその駅は付近に民家が数件あるだけの寂れた駅でした。駅には誰もいません。

 

当時この路線は、冬にはニセコエキスプレスという特急列車が走り、夏には蒸気機関車が走っていました。そんなこともあり、鉄オタではありませんでしたが寄ってみたのです。

 

その駅の待合室にあるベンチに腰掛けて、5分くらい休憩したら出ようと思っていました。

 

イスに腰掛けて数分後、駅のホームの方からミャアと鳴きながら、白と茶色のブチ柄で尻尾もその色合いの縞模様の猫が待合室の方に入ってきました。

 

特に猫好きというわけではなかったので、最初はこんなところに野良猫がいるのかと思っただけでしたが、一目散にベンチの上に飛び乗ったかと思うと、次の瞬間には私の膝の上に乗っかってきました。

 

「この動き、野良猫ではないのか?」

そう思っていたら、今度は膝の上で昼寝を始めました。

いくら猫好きではない私でも、むげに扱うことはできず、しばらくそのままにしていました。

 

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「こいつ、いつまで寝てるんだ?」

 

時計を見ると30分以上経過していました。

もう起きるのを待っていられないので、強引に膝から床におろしたらまたホームの方に歩いていきました。

 

あとで調べてみるとこの猫は、しま太郎と言って今でいう駅猫の走りのような猫でした。

比羅夫駅を訪れた人たちの膝の上に乗っかって旅人たちを癒していたようです。

 

残念ながらしま太郎は2013年に亡くなったようですが、「比羅夫駅 しま太郎」で検索すると、この猫がいかに愛されていたかが分かります。

 

しま太郎には子供がいるようなので、会ってみたい気持ちもありますが、残念ながら将来の北海道新幹線の開業でこの付近の在来線は廃止になるようなので、なくならないうちにまた比羅夫駅に訪れてみたいと思っています。