本を守ろうとする猫の話 | 読書旅行。

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まだ見ぬ本の世界を旅行したい。1頁開いた先にその物語は始まります。



「お前は、ただの物知りになりたいのか?」
夏木林太郎は、一介の高校生である。幼い頃に両親が離婚し、さらには母が若くして他界したため、小学校に上がる頃には祖父の家に引き取られた。以後はずっと祖父との二人暮らしだ。祖父は町の片隅で「夏木書店」という小さな古書店を営んでいる。その祖父が突然亡くなった。面識のなかった叔母に引き取られることになり本の整理をしていた林太郎は、書棚の奥で人間の言葉を話すトラネコと出会う。トラネコは、本を守るために林太郎の力を借りたいのだという。お金の話はやめて、今日読んだ本の話をしよう―――。



本を守ろうとする猫の話 夏川草介

第一の迷宮「閉じ込める者」
第二の迷宮「切りきざむ者」
第三の迷宮「売りさばく者」
最後の迷宮
目次からダンジョン攻略のようで、読む前からわくわくする。

今とは常識も生活背景も異なる、はるか過去に書かれた作品が、今も読み継がれているのはなぜか。
どれほど時代が変化しても、変わっていないもの、変わってはいけないものが書かれているからである。人間の本性にかかわる大切な事柄が記されているのである。
最後に解説でそう言った作者に、私は納得した。だから本は面白い。自分が今まで知らなかった事をどんどん教えてくれる。
そして、作中でその事にたどりついた林太郎は、やはり本が大好きなのだ、とも思った。

作者によると、明確な名は書いていないが、何気ない景色や会話の中にも、多くの作家や作品へのオマージュやパロディを織り込んでいる。との事だ。私には分からなかったので、これをきっかけに、世界の名だたる名作から少しずつ手にとってみたいと思う。