トヨタ・アクアと安保法案!日本人はイメージで動く? | Old James Bond 通信

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―― 大学教授・宇賀神大介の熱血講義録!――

 安倍内閣の支持率が低下する中、衆議院で、安全保障関連法案

(改正法が10、新法が1、 以下、安保法案 と略記)が、野党のいう

「強行採決」によって可決された。それで 新国立競技場建設計画を

「白紙撤回」しなかったら、支持率低下はなお一層加速したであろう。

2,520億円という 新国立競技場建設費は、約100兆円の日本の

一般会計、約110兆円の社会保障費から考えれば、「はした金」に

すぎないかもしれない。しかし、先に投稿した記事、「新国立競技場

建設計画の『無責任』!JSCの責任?」で詳しく 記したように、この

問題の本質はそういった点にあるのではではなくて、同建設計画が

いかに「無責任」で、またいかに「いい加減」であるかという点にこそ

あるのである。


 さて、話は異なるが、トヨタ自動車の小型 ハイブリッド車・アクアが、

売れに売れているそうである。本2015年上半期(1~6月)の販売

台数が約12.1万台と、車種別販売ランキングで、堂々の第1位に

なった。いくら 地球環境に優しい「エコカー」が 大ブームだとはいえ、

これは一体どういうことだろう。世の中、それほど、地球環境を重視

する人が 多いのだろうか。私は、このトヨタ・アクアの爆発的人気を

見ていると、それが 安保法案に対する日本国民の反応と 重なって

見えて仕方がない。どういうことか、説明しよう。





写真 : トヨタ・アクア(2014年12月、マイナーチェンジ後)



 トヨタ・アクアのボディデザインは、決して 悪くはない。軽快で明快

であり、自然なデザインである。ボテッと重々しく 「自然体」からほど

遠い、奇妙な「魂動デザイン」のマツダ・デミオよりは、よほどマシで

ある。しかし、ハイブリッド車は、バッテリー、モーター などの余計な

ものを積むため、同クラスの普通のガソリン車よりは 重量がかさむ。

初期のころは、バッテリーだけで 約100キロの重量があった。この

ため、アクアは、11月に新型(4代目)へ移行するトヨタ・プリウスが

約1,300~1,500キロと 重いのに、約1,000~1,100キロと

300~400キロ! も、いわば「無理やりに」車重が 軽くされている

いかなる方法によって軽量化したのかというと、各部位の軽量化は

勿論のこと、内装には プラスチック素材を多用し、遮音材の使用も

必要最小限に抑える、といった具合である。ヴィッツも そうであるが、

至る箇所に トヨタ一流のコスト・ダウンが目に付く。動力性能的にも、

軽量な割に加速が鈍いとの感想が少なくない。それらの結果として

アクアがどのようなクルマに仕上がってしまったか‥‥。


 皆様の中に、実際にアクアを愛車とされる方もおられると思うので、

それ以上申すのは控えたい。少なくとも、クルマに詳しい人は、まず

手を出さないクルマだ とのみ申しておこう。そのくせに、価格だけは

176~204万円 と一人前に高い。200万円も出せば、程度のよい

中古の高級車が優に手に入る。それなのに、アクアがこれほどまで

売れるのは、一体なぜだろうか。その考えられる理由は、ただ 一つ。

手ごろな価格で手に入るハイブリッド車、地球に優しい「エコカー」と

いうイメージである。私はつねづね、日本人はイメージだけでものを

買う、と考えてきた。日本の多くの企業は、このことに 気付いている。

早々より熟知している企業は、トヨタである。トヨタは、日本人のその

性格を巧妙に利用してきた。そして、こうした日本人の性格は、何も

消費行動だけにとどまらない。政治などについても、イメージだけで

考えてしまう。問題の安保法案に対する日本国民の反応が、まさに

そうである。そこで 以下、安保法案に対する 日本国民のイメージを

逐一検証してみることにしよう。


1.分かり難くて怪しい!?


 改正法が10、新法が1、合計11 になる法案なので、安保法案は

お世辞にも分かり易いとはいえない。おまけに、安倍首相が泥棒だ

の火事だのと、下手くそな譬え話をするものだから、ますます怪しく

胡散臭く感じる。これもイメージだといわれるかもしれないが、もっと

分かり易い譬えがある。卒業を間近に控え、社会に巣立とう とする

大学生、高校生である。親(アメリカ)の庇護を離れ、社会(世界)に

出れば、そこでは 世間(国際情勢)の荒波が待ち構えている。仕事

(国際貢献)は辛く、嫌がらせ(威嚇)を受けたり、もめごと(紛争)が

起きたりもするであろう。場合によっては、仲間を守ること(同盟)や

犯罪(戦争)を 未然に防ぐこと(防衛)も、考えなければならなくなる。

勿論、万が一の場合、親(アメリカ)としても 助力してくれるだろうが、

基本的に「社会人」の自覚を持って、自ら 対処しなければ ならない。

一体、当の大学生、高校生(日本)に、どれくらいその自覚と覚悟が

あるのかが問われているということである。そうした視点から、安保

法案を考えれば、少しは分かり易くなるであろう。


2.戦争に巻き込まれる!?


 今回の安保法案の大きな柱は2つある。第1は、集団的自衛権の

行使容認、そして第2は、外国軍隊の後方支援の範囲拡大 である。

現在、日本は、個別的でない集団的自衛権の行使を認めていない。

集団的自衛権は 国際連合(国連)の「国連憲章」に規定されており、

国連加盟国である日本は、これに違反している。その上に、集団的

自衛権は 日米安全保障(日米安保)条約の要件 であり、当事国の

日本は、これにも違反している。それでも、これまで そうした違反が

容認されてきたのは、日本の軍備拡張を諸外国、中でも アメリカが

警戒したために他ならない。ただし、近年 その事情が変わってきた。

アメリカは 「(安全保障を)少し 助けてくれ」、「多少 分担してくれ」と

いっている。集団的自衛権の(武力)行使容認は、極めて 限定的な

ものであって、これで戦争に巻き込まれるというのならば、今ごろは

世界中、戦争だらけである。誤解が生じないよう、日本はアメリカに

この「限定的」という点を十分に伝える必要がある。なぜ、「自衛」が、

「戦争に‥‥」 などの話に変貌するのだろうか。軍隊の後方支援と

は軍事用語でいう兵站(へいたん)のことであり、今回、その範囲が

戦闘行動(正面)以外の全てに拡大された。勿論、危険は増えるが、

それが 本来あるべき姿であり、これまでの「後方地域支援」限定が

臆病すぎて、変則的であったというべきである。しかも、後方支援を

行う場合、何も「丸腰」の部隊を送り込む訳ではない!


3.徴兵制につながる!?


 現在の自衛隊というのは、旧軍隊とは 全く異なった性格の組織で

ある。それは、「プロの技術者集団」である。陸、海、空 ともにそうで

ある。したがって、仮に徴兵制が敷かれ、「素人」の若者を集めたと

しても、にわかに「使い物」にはならない。中東の某イスラム過激派

組織 とは、訳が違う。この決定的な相違点を、分かっていない人が

意外と多い。1970(昭和45)年、陸上自衛隊の 市ヶ谷駐屯地(現

防衛省)にて檄を飛ばした後、割腹自決した作家・三島由紀夫氏が

そうであった。三島氏は現実を見ず 観念でしかものごとを考えない

人であったから、自衛隊が「武士」ではなく、「プロの技術者集団」で

あることを、最後まで 認識できなかった。以上のことから、徴兵制と

話すのは、現在の軍隊というものを 知らない人のナンセンスである。

ただし、若い人には、一度自衛隊に体験入隊し、軍隊を知る機会が

あっても よいと思う。憲法改正については次に述べるが、徴兵制は

憲法が禁じている「苦役」に該当し、憲法改正しないと 困難だろうと

いう見解もある。


4.次は憲法改正か!?


 これまでの本ブログ記事において、繰り返し述べたように、現行の

「日本国憲法」は戦後、アメリカが日本を封じ込め、日本を実質的に

支配するために短期間で原案を作り上げた、「アメリカ属国憲法」で

ある。日本が 本来の「独立自尊国家」になるためには、憲法改正が

「是非とも」必要である。「独立自尊国家」となって、アメリカと対等な

同盟関係を結び、相互に 安全保障協力をする。それが 理想であり、

日米安保体制の精神である。しかし、この「属国憲法」を 護るように

徹底的に「洗脳教育」されている国民が圧倒的に多い中で、早急に

憲法改正を提起し、国会議決、国民投票に持ってゆくのは、非常に

困難である。とすれば、あくまで 現行憲法の枠組みの中で、次善の

策を模索するしか方法がない。それが 今回の安保法案なのである。

「属国憲法」は いずれ何とかしなければならないが、それは かなり

先の課題となるであろう。次善の策である今回の安保法案を考える

とき、忘れてはならない問題は、例えば 最近の日本の近海、つまり

日本海、東シナ海、南シナ海、そして太平洋における無法な勢力の

横暴に いかに立ち向かうか、ということである。こうした国際情勢の

激変を認識しないと、安保法案の意義も理解できない。


5.学者が「違憲」といっている!?


 衆議院憲法審査会で、3人の憲法学者が 安保法案を「違憲」だと

断じた。それに 加えて、「安全保障関連法案に反対する学者の会」

(約150名)が抗議声明を公表した。現行憲法がおかしいのだから

それに照らせば 安保法案が「違憲」となるのは当然である。日本の

学者の大半は、マスメディアと同様に「左翼」だ と思って間違いない。

中には、極左思想 のマルクス主義者(共産主義者)も、異常に多い。

そうした実態については、先に投稿した「サラリーマン教授奮闘記!

大学版『半沢直樹』!」(上)(下)を読んで頂きたく思う。相変わらず

「左翼」系の学者連中が、大手を振っている 現状には、非常に腹が

立つし、学者の「威を借りた」行為にも、無性に腹が立つ。学者には、

「世間知らず」の専門○○も 結構いる。学者の意見だから といって

有り難がると、結局はその人も○○となる。もう 学者がどうのこうの

政治に注文を付ける時代は、過ぎたと思うのだが‥‥。


 今、安保法案を巡る騒動を眺めているとき、1960(昭和35)年の

日米安保条約改定 を巡る騒動を思い起こす。その騒動と比べれば、

今の騒動は静かなものである。日本も、多少 大人になったのだろう。

安保法案に対する 国民の批判は、多分に イメージに基づいている

ように思われる。日本人はイメージで動く。そのイメージが変われば、

日本人も 変わる。よって、安倍首相には、支持率低下に臆すること

なく粛々と安保法案を前進させ、日本を少しでも「独立自尊国家」に

近付けて頂きたいと、心から願う次第である。


 読者の皆さ~ん! 単なる イメージだけで、安全保障関連法案に

反対するのは、絶対にやめましょう!!





写真 : 海上自衛隊護衛艦いずも(ヘリコプター空母)


※この巨大な護衛艦は、同型艦かがと共に、日本の海上防衛の要

(かなめ)となる。



【注 記】


※各新聞社の世論調査結果で、安倍内閣の支持率 と不支持率が

逆転したそうですが、よく見ると、男女間で差があるようです。読売

新聞の調査結果は、次のようになっています。失礼ながら、女性の

ほうがイメージに動かされ易いのかも‥‥。早くも、女性週刊誌 が

この点に目を付け、扇動している模様です。


全体 : 支持=43%、不支持=49%

男性 : 支持=49%、不支持=44%

女性 : 支持=38%、不支持=53%


※ご用評論家の「提灯(ちょうちん)記事」が余りに酷いので、あえて

申します。トヨタ・アクアは、①安っぽい、②走らない、③高い だけの、

ただの「○○グルマ」にすぎません!


※トヨタ・アクアは2011年12月に発売以来、何回か改良を重ねて

2014年12月に、大幅改良がなされました。しかし、それは元々の

出来を糊塗する程度のものです。


※ハイブリッド・システムは重く高価ですから、基本的に 重く高価な

大型車の補助的役割しか持たないと考えます。


※私が現時点で皆様にお薦めするクルマは、スズキ・アルト および

アルトターボRS です。アルトには エネチャージが付いており、その

燃費は、37km/Lにも 達します。これを、Sエネチャージにすれば、

40km/Lは軽くゆくと思います。


日米安全保障条約は、すでに 集団的自衛権(行使)の一種です。

それが存在し、沖縄にアメリカ軍が展開する限り、某国は尖閣諸島、

台湾に「軍事的には」手が出せません!


※本当に 「個別的自衛権だけでよし」 とするならば、日本は国連を

脱退し、日米安保条約も破棄しなければなりません。その場合には、

日本の防衛費は、現在の約5兆円から20数兆円に跳ね上がる、

試算されています。


武力行使の3つの条件(集団的自衛権行使の場合)


日本と密接な関係にある他国が武力攻撃された場合、


1.日本の存立が 脅かされ、国民の生命、自由と幸福の追求権 が

根底から覆される明白な危険がある。


2.日本の存立を全うし、国民を守るために 他に適当な手段がない。


3.必要最小限の実力行使にとどまる。


以上のどこが、「戦争に巻き込まれる」ことになるのでしょうか‥‥。


「諸悪の根源」=日本国憲法第九条(条文)


1.日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、

国権の発動たる戦争と、武力による威嚇 又は武力の行使は、国際

紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。


2.(第二項) 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、

これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。


※上記の憲法第九条の条文を読めば、その条文のために、いかに

今に至るまでに 日本が矛盾を積み重ねてきたか、矛盾を積み重ね

ざるを得なかったか十分に分かると思います。例えば、軍隊以外の

何物でもない自衛隊は いまだに「軍隊」ではないのです。憲法改正

すると、日本が「好戦的な反平和国家」になるなどといった間違った

イメージに惑わされてはいけません!!


※こんなある意味で一方的、独善的、弱腰、及び腰で、国家の体を

およそ成していない、恥かしい、みっともない憲法が、世界は広いと

いっても、世界のどこにありますか!!(怒)


※安保法案の採決に関する各TVキー局(母体新聞)のニュースを

その論調で整理すると、以下のようになります。以前からの傾向が

出たまでですが、それにしても、テレビ朝日(朝日新聞)、またTBS

(毎日新聞)の異常さ際立ちます!!


1.安保法案(採決)を徹底的に批判


テレビ朝日(朝日新聞)、TBS(毎日新聞)


2.安保法案(採決)を穏やかに批判


NHK(日本放送協会)、テレビ東京(日本経済新聞)


3.安保法案(採決)への一定の理解


日本テレビ(読売新聞)、フジテレビ(産経新聞)


※参議院の安保法案の審議過程では、民主党は対案を提出しない

そうです。国民のイメージだけの批判に便乗しようというのであれば、

無能極まり、政党の資格などはありません!


(9月19日付記)


※本19日未明に、参議院において安全保障関連法(安保法)案 が

可決され、同法は成立しました。日本が子供から大人になるための

法律 が通ったという 自然な事柄にすぎず、「大人になりたくない」と

駄々をこね、大人の良識に欠ける 反対を叫び、世界に恥をさらした

野党と左翼の責任は免れません!!