散歩していたら、電柱の張り紙が目についた。
「迷子のインコ。6月2日から行方不明。名前はロッキー」
あちこちに張り紙がしてあるので、飼い主はさぞ心配しているに違いない。
でも、ロッキーの立場に立ってみれば、必ずしも「迷子」とは言えないのではないか。むしろ、囚われのカゴから逃げ出し、自由を満喫してるのではないか?
ここからは僕の想像だ。
ペットショップで買われたロッキーは、狭いカゴの中の世界しか知らなかった。新しい飼い主の用意したカゴにも満足していた。
ところが、カゴが置かれたベランダには、朝はスズメやカラス、夕方にはオウムが飛んでくる。野鳥たちは皆、仲間がいて楽しそうだが、ひとりぼっちのロッキーには、カラスやオウムの騒々しさは馴染めなかった。
ロッキーは「自分は違う」と気にしなかった。
ある日、ベランダにインコが飛んで来た。
黄色い模様で、名前はパトリシア。元は誰かのペットだったらしい。
時々ベランダにやって来るパトリシアを見ていると、ロッキーの心にある変化が生まれた。
「このカゴの外には何があるんだろう?」
そして6月2日の朝、飼い主がカゴの水を換えている瞬間、「いまだ!」
ロッキーは生まれて初めて大空に飛び出した。ひんやりとした空気、温かい日差し。ベランダが小さく見える…。
また、僕の白昼夢が始まった。