翌年の2月、カリフォルニア州弁護士試験に2度目の挑戦をした。


会場は前回と同じパサデナ市公会堂。


2度目なので試験場の雰囲気や大体のスケジュールは分かっている。


前回は、会場のクーラーが効いていてすごく寒かったので、今回はセーターを持参した。


ロースクールの新卒受験生は、前年7月の試験で半数が合格しているので、2月の試験は何度も受験している浪人生が目立つ(僕もその1人だが…。)


午前の試験はエッセイ。

内容は遺言、不法行為、プロフェッショナルリスポンシビリティ(弁護士の責任)の3科目だ。


前回の反省から、今回はエッセイに盛り込む「分析」部分を意識して増やした。


試験初日は、僕が卒業したサウスウエスタンロースクールが卒業生にランチボックスを無料配布していたので、感謝して食べた。


午後の部。

問題用紙が配られて驚いた。


パフォーマンステスト1問だけと思っていたら、実際はパフォーマンステスト1問とエッセイ2問を3時間半で片付けなければならない。


数種類の判例や資料を読んで指定のリポートにまとめるパフォーマンステストは手間が掛かる。それを1時間半で終え、エッセイ2本を各1時間でまとめるのは困難だった。


2日目のMBE(択一問題)100問が終わった。


数週間後、ネットの合否案内で「不合格」が確定した。


その後、送られてきた答案を見ると、半年間の勉強の甲斐なくエッセイはほとんど前回と同じ50点だった。


逆に全く準備しなかったパフォーマンステストは60点だった。


MBE は、複雑な訴訟の手順とスケジュール理解が不十分なため、民事訴訟がスコアを引き下げた。


「2回か3回の受験で受かるだろう」と甘く見ていた弁護士試験だが、目の前にしてみると必要な学習量の多さと自分の学力のギャップに愕然となる。


ちょうどその頃、ロサンゼルスの裁判所へ出かける機会があった。


フリーウェイで僕の車線に割り込み、接触事故を起こしたドライバーが弁償を拒むので、スモールクレイム(簡易訴訟)を起こしたのだ(結局、証拠不十分で訴えが認められなかった)。


裁判所の廊下で、デイブ・ パックリンと出会った。大学の同窓で、日英バイリンガルの弁護士だ。

「トヨジー。ここで何してるの?」

「実は弁護士試験を受けて不合格だったんだ」

濃紺のスーツが似合うデイブは微笑して、

「サンディを知ってるだろ? 去年12回目の挑戦で合格して、今年は100万ドル以上の訴訟に勝ってるよ。Good luck!」


「12回か…」

気が遠くなる気がした。


Photo courtesy of ABA Journal