パサデナ市のオールドタウンにある公会堂は、石造りの巨大な建築物だ。


2015年7月のカリフォルニア州弁護士試験を、僕はここで受けた。


ふだんは展示会等のイベントに使われるメインフロアーが全て試験会場になる。500人以上いるだろうか。2人用の折りたたみテーブルが、びっしり並んでいる。


ロースクールを5月に卒業したばかりの新卒と見られる若い受験生が大部分で、男女の比率はほぼ同じ。


僕の席は、20列ほどある席の中で後ろから2番目なので、全体が良く見える。「UCLA Law」「Loyola Law」などロースクールのロゴが入ったジャージを着た受験生もあちこちに見える。


僕の出身校サウスウエスタンで見覚えのある顔もあちこちに見える。


女子の受験生は、長い髪を後ろで束ねているスタイルがほとんど。試験の邪魔にならないためなのだろう。


僕の隣に座った女の子はとても社交的で、周囲の受験生とおしゃべりしたり、僕にひそひそ声で、

「後ろの席の男の子は、ハーバード卒だって!」と興奮気味に話したりしていた。


この当時は、試験は3日にわたって行われ、1日目はエッセイ6問、2日目はパフォーマンステスト2問、3日目はMBE(択一テスト)100問と言う内容だった(現在は2日間)。


試験官から諸注意があり、試験問題が配られた後、

「You may start now. Good luck!」と開始が告げられた。


シールを切って問題用紙を見る。


民事訴訟法、相続法、証拠法の3つがあり、3時間で回答しなければならない。


最初は皆問題を読んでいて静かだったが、5分を過ぎたあたりから、パソコンのキーをが叩く音がし始めた。


僕は、どこから手を着けていいか分からず、凍りついていた。


気分を変えるためにトイレに行き、1問終わる度にトイレに行った。幸い机が出口に近いので、トイレも近い。


2日目のパフォーマンステストは、法律事務所の上司から指示を受けてリポートをまとめたり、クライアント向けに報告を作ったりという作業だ。


そして3日目のMBEは、設問について4問の選択肢から1つを選ぶ。


今考えれば(と言ってもまだ合格していないが)、エッセイもパフォーマンステストも、頭の中にどれだけテンプレートが入っているかが最低条件だ。


その上でエッセイは、どれだけ争点を見つけ、適用される法律と照らし合わせて分析し、結論を導き出せるか。


当時の僕がやっていた勉強は、弁護士試験用教材のビデオを見て、練習問題を解くことだったが、そもそも基本的な勉強をしていない科目が半分近くあった。


その状態で受験した僕は、度胸があるというか世間知らずというか…。


試験の結果は2000点満点で、僕は1000点ちょっと。合格ラインは1400点だった。


Photo courtesy of NBC News