ノックしてオフィスのドアを開けると、タテヤマ教授は机の脇の小さなテーブルに向かって、立ったまま仕事をしていた。


「立ち仕事なので腰痛の持病があってね」。椅子に座るより、立っている方が楽らしい。


このロースクールで日系人の教授は1人だけ。民事訴訟法が専門で、丁寧な教え方と面白い授業が学生にも人気がある。


タテヤマ教授から、僕が50歳になってロースクールに入った理由を聞かれたので、

「前から勉強したかったが、長男が大学に入ったので、自分もこの機会に勉強を始めようと思った」と答えた。


タテヤマ教授には、中学生の娘がいると言う。僕より5、6歳ほど若そうだ。


試験に備えるため、アウトライン(授業の要点をまとめたプリント)の作り方などを教えてくれた後、

「日本人学生のヤスミが学生の勉強サポートをしているから、相談してみると良い」とアドバイスしてくれた。


翌週、教務課のオフィス。

「こんにちは! トヨジーさんですね」

「よろしくお願いします」

ヤスミは、目のぱっちりした頭の良さそうな女性だった。


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