LLMアドバイザーと相談し、秋季セメスターの科目が決まった。


アメリカ法概論、文章の書き方、契約法1の3科目だ。先の2科目は留学生向けで成績はつかない。契約法は一般学生と同じ教室で授業を受け、成績もつく。


夕方、仕事を終えてロースクールに向かう。学生用パーキングにはベンツやBMWなど高級車が並んでいる。UCLAやUSC(南カリフォルニア大学)などのナンバープレートホルダーをつけた車もある。


親も弁護士と言う裕福な家庭の子供たちが多いのだろう。50歳で学生ローンを組んで入学した僕にとっては違和感がある。


契約法のクラスが始まった。

100人以上が入る大教室の真ん中あたりに席を取る。

40歳位の男性の教授は、白いセーターにジーンズ姿。短い自己紹介が終わると、すぐに講義が始まった。

「ミス・ロドリゲス?」

「はい」。隣の席の女の子が当てられた。

「American shoe companyの判例について、要点を説明してください」


「えっ、こんな感じで行くわけ?」

僕も、一応テキストは読んできたが、聞かれても答えられないだろう。


教授は、契約が履行されなかった場合の損害賠償のいろいろなパターンについて、ジョークも交えながら説明するが、僕は、皆が何を笑っているのかわからない。


クラスが終わった後、後ろの席にナイジェリア出身のイーディスがいた。

どうだったかと聞くので、「わからなかった」と正直に答えると、「私も全然わからなかった」の返答だった。


「この先どうなるのか」という不安と「何とかなるだろう」という気持ちが入り混じった、最初の講義だった。


Photo courtesy of Southwestern Law School