PISの呼びかけで、ロサンゼルスに「ラーメン居酒屋」を立ち上げることになった。


「ラーメン、居酒屋、2つとも人気だからくっつけたらすごいことになる」というジェイの提案に、他の会社も相乗りし、とんとん拍子にオープンした。


店の名前はMENYA(メンヤ)。

充実した居酒屋メニューと、時間をかけて仕込んだスープを使った本格ラーメンが売りだ。


「トヨジー、今晩もラーメン行こうか?」

ジェイが言うと、ヒデが、

「トヨジーさん、僕が車出しますよ」


ジェイの作戦は、MENYAの酒メニューを「くろさわ」「初孫」「川場ビール」などPIS銘柄で独占し、宣伝と売り上げのダブル効果を狙うというもの。


「いらっしゃいませ!」

店のドアを開けると、若いウエイトレスの元気な声が響く。

「ともみちゃん、川場ビール3本と羽根餃子、チキン竜田揚げね」とジェイが注文すると、ヒデが、

「社長、サーバーの名前みんな覚えているんですか」

「そりゃあそうだよ」


「お待ちどう様、餃子です」

小太りの中年男性が皿を手に現れた。

「あれ、稲賀さん?」ヒデが声を上げた。関東地方の酒蔵の社長がなぜラーメン店に?


「いや、ジェイさんからラーメン居酒屋の話を聞いて、僕も手伝いたいと思って」とタオルで汗を拭う。


「餃子には自信あるんで、どうぞ」

「えっ、これ稲賀さんが焼いたの? うまい!」ジェイも絶賛だ。


日本酒メニューを見ていたら、「獺祭」「菊水」などPIS以外が輸入する銘柄も入っている。

「他社の銘柄も入ってますよ」

「トヨジー、お店の付き合いもあるんだから細かい事は言わないの」。竜田揚げをかじりながらジェイがたしなめる。


帰りの車でヒデがつぶやいた。

「MENYAのオーナー、実は僕なんですよ」

「ウソでしょ?」

「アルコール規制で、輸入会社の社長はレストラン経営できないんです」

なるほど、それでヒデが…。


結局、1年ほど営業してMENYAは閉業。ヒデもホッとしたようだ。


数年後、当時を振り返ってジェイが、

「あのコンセプトは10年早かったな。それに俺、ラーメンが嫌いなんだよ」


今さら、よく言う!


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