PISの関連会社シルキーストリート(略称:シルキー)がクラフトビールを輸入販売することになった。


扱うのは群馬県の「川場ビール」。


利根川など5つの川の水源があるという川場村の湧き水と、本場ドイツ産ホップを使った本格的なマイクロブルワリーだ。


商品開発とビール問屋探しは、大手Sビール出身のマネージャーが完璧に仕上げくれた。


実際に営業が始まると、僕も駆り出された。


同行の相手はロサンゼルス郡をカバーするパッション・ ディストリビューション。「ハイネケン」「ドセキス(XX)」など有名ブランドを多く扱っている。


ベテラン営業のホゼは英語とスペイン語のバイリンガルで、「ペルフェクト(パーフェクト)」が口癖だ。

「Do you like beers? (ビールは好きか?)」

「Of course! (もちろん!)」と僕が応じると、

「Perfecto! (完璧だ!)」


驚いたのは、そのあとだ。

営業に入ったレストランで店主やバーテンダーと商談しながらビールを飲む。3店続けて飲んで、「これでは体(と肝臓)がもたない」と、それ以降は自粛した。


レストラン営業チーム最年長で、モヒカン頭のスティーブが「金曜日の夕方からラッキーストライクで川場イベントが入ったよ」と言う。


当日、現地に着くとボーリング場だった。バーが付いていて、ボーリングしながらでも飲める。


スティーブはいないが、タンクトップ姿のモデルが手伝いに来てくれた(請求が後からくる)。


「君がトヨジーだね。さあ、ボールを持って。シューズを履いて」と、マネージャーがせき立てる。


モデルが勧めるので、飲みながらボーリングする人が増えて来た。そのうちにビールと日本酒をミックスする「サケボム」も出て来た。スポーツ音痴の僕はふらふらだった。


酒販店営業チームのニックとは、ダウンタウンからサウスセントラル地区を同行した。


銀行のようにキャッシャーが防弾ガラスで覆われている酒販店がある。偏見もあるが、金のチェーンを着けた若い黒人の客がギャングに見える。


ニック自身も、誰かと間違えてギャングに拳銃で撃たれたことがあると言って、腕の傷痕を見せてくれた。


「トヨジー。酒販店の営業は夕方以降はしないこと。外に1台も駐車していない店は避ける。そして、誰かが盗む現場を見ても注意しないこと。あとで撃たれるからね」


命と引き換えに営業する気持ちは、ありません。


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