2000年代のアメリカの日本酒マーケット拡大を支えたのは、韓国系オーナーが経営する日本食レストランだろう。


PISが取引する問屋も、最初は1人しかいなかった韓国系セールスが徐々に増え、5年後には日本人チームと同じ人数になった。


アメリカにわたって数ヶ月でレストランを開店する韓国人も多い。英語を話さない人が多いので、ハングル語に訳したカタログやポスターが必要だ。


新しいレストランが開店するたびに、韓国人セールスから電話が入る。

「トヨジーさん、3時に来れますか」

「どこですか」

「ウェスタンと5番の“お金スシ”です」

店の名前も、日本人の発想とは違う。


僕の仕事は「アニョハセヨー」と挨拶して、店に入り、店主と両手で握手して、テーブルにサンプルを並べるだけ。


後は、韓国人セールスが韓国語で熱弁するのをニコニコ見ているだけだ。セールスマンが時々、「トヨジーさん」と話の引き合いに出しているのが聞こえるだけで、内容はわからない。


日本酒について「こだわり」が多い日本人に比べ、韓国人は日本酒も「ビジネスツールの1つ」と割り切っているので、決断が早い。


「トヨジーさん、全部1ケースずつ欲しいそうです」

「ありがとうございます。カムサハムニダ!」


こうして、韓国系マーケットに「くろさわ」が浸透していった。


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