2035年3月31日。


ラスベガスから車で約2時間。砂漠の町バーストーの上空で、奇妙な光が目撃された。


最初は軍の実験機だと思われた。


しかし、その光は音もなく下降し、モハヴェ砂漠の乾いた大地に静かに着陸した。


世界中のニュースが伝えた。

「未確認飛行物体、地球に着陸」


人類史上初めて確認された地球外生命との接触だった。


だが、最初に宇宙船の扉の前に立ったのは、大統領でも軍人でもなかった。


砂漠の研究施設で働く一人の女性、イブだった。


彼女は恐怖ではなく、好奇心を持って近づいた。


ゆっくりと扉が開く。


そこから現れたのも、一人の女性だった。


彼女の名前もまた、イブだった。


「あなたたちの星にも、この名前があるのですね」

地球のイブが尋ねた。


宇宙から来たイブは静かに答えた。

「名前は違います。でも、意味は同じです」

「生命の始まり」


二人のイブは、砂漠の中で向かい合った。


一人は、過去から未来へ続く地球の記憶を持つ女性。


もう一人は、遠い星で文明の終わりと再生を経験してきた女性。


二人の出会いは、人類と宇宙の最初の会話ではなかった。


それは、生命そのものが、自分自身を理解するための最初の対話だった。

(つづく)


Photo courtesy of GeekTyrant