午後2時半のドーナツ店。
数人の男性がロット(宝くじ)を買い、当選番号のスクリーンを見つめている。20ドル札を握りしめ、次の抽選を待つ人もいる。
かつてロットは1種類だったが、今ではカリフォルニア州だけで8種類。スクラッチ型も50種類を超える。
さらに待てない人のために、4分ごとに当選結果が出るロットまである。買う・待つ・確認する、という一連のプロセスが、ほぼ無限に回転するように設計されている。
実際に、4分ごとに買い続けている客もいる。
ドーナツが空腹を満たして終わる体験だとすれば、ロットは報酬期待を刺激し続ける仕組みであり、終了条件を持たない。
その結果、午後のドーナツ店では、ドーナツよりロットを買う客の方が目立つ光景すら生まれている。
この光景を見て「最適化」という言葉が浮かんだ。
ここでの最適化とは、州にとっての収益最大化に向けた設計のことだ。種類を増やし、頻度を上げ、待ち時間を短縮することで、行動ループは加速する。
ドーナツ店はいつの間にか、軽食の場であると同時に、小さな賭博システムの接点になっている。
ドーナツも必ずしも健康的ではないが、ロットのそれは別の種類の影響を持つ。満腹ではなく、期待によって人を動かす設計だからだ。
そのうちに、この最適化はどこまで進むのだろう。
気がつくと、ドーナツを食べているのは僕ひとりだ。
Photo courtesy of NBC News