「ゆでガエル」の話はよく知られている。


冷たい水にカエルを入れて、徐々に熱していくと、逃げるタイミングを失って茹で上がってしまう、という話。


本当だろうか?


心理学者のアダム・グラントが著書「Think Again 」で指摘しているように、これは実験的検証ではなく、一種の“神話”のようだ。


では、どうして「ゆでガエル」の話がこんなに広がったのか。


環境に慣れると限界が来たときに逃げられない、という人間の心理の一面をよく表しているコンセプトだからかもしれない。


ゆでガエルは、ストーリーとして強烈だし、ビジュアルに訴える効果があるためだろう。


しかし、この話の本質は「カエルがどうか」というより、人間の意思決定の複雑さにある。


人間であれば、周りの環境が悪化したとしても、移動コストや手続きの面倒さ、新しい環境との比較などを総合的に考えて「まだいいだろう」と判断することもあるだろう。


もう1歩掘り下げて、僕自身の「ゆでガエル」化について考えてみると、インターネットなど外からの情報にかき消されて、自分の体や心のシグナルに気づかなくなっている可能性がある。


先日の便秘トラブルも、改めて考えると、トイレにスマホを持って入る習慣によって、便意シグナルに鈍感になってしまった気がする。


長男にゆでガエルの話をしたら、「地球温暖化みたいな話だね。でも、地球から飛び出せないからね」と神妙な顔で言う。


ゆでガエル問題は、カエルどころか地球サイズの問題なのかもしれない。


Photo courtesy of WWF-Canada