先月から到着を待っていた新刊「Troubled (問題を抱えた子供たち)」(Rob Henderson著)を読み始めた。


著者のヘンダーソンさんは、父親の顔を知らず、覚醒剤依存症の母親と3歳の時に引き離された。その後は、カリフォルニアのフォスターケア(親のいない子供を世話する里子制度)によって、7つの家庭を転々とした。


ヘンダーソンさんがすごいのは、フォスターケア出身者の大学進学率はわずか3%と言われる中で、名門イエール大学を卒業し、ケンブリッジ大学で博士号を取得したこと。


その“逆転劇”を知りたいと思って読み始めたのだが、最初の数字ページを読んだところで、僕の期待が間違っていたことがわかった。


ヘンダーソンさんは、父親に捨てられ、母親に捨てられ、養父にも捨てられた。「人生でどんなに成功したとしても、家庭のない寂しさ、心の傷を癒せるものではない」と言う。


ヘンダーソンさんが小学校に入学した時、里親が無料ランチの書類を用意してくれなかったため、毎日ランチの列に並んでも「申込書を持ってきなさい」と言われ、1人だけ食べさせてもらえなかった。


その家には実子を含め、7人の男の子がいて、食事も、テレビのチャンネル選びも年長の子たちが独占していた。


次に、引き取られた家庭では、プール掃除や家の仕事にこき使われ、プールで溺れかけた時も里親は携帯電話で話をしていたと言う。


子ども時代にヘンダーソンさんが知り合った友達で、両親がいる家庭に育った子供は「ほとんどいなかった」。その後、イエール大学に入学したヘンダーソンさんは、大多数の学生が両親のいる家庭で育ったことを知り驚いたと言う。


調べてみると、カリフォルニア州には約6万人のフォスターチルドレンがいる。統計によると、フォスターケア出身の男子の60%は刑務所に入り、30%以上がホームレスを経験するという。


困難な生活を送る子供たちを総称して「Troubled (問題児)」と呼ぶことがある。アメリカ社会の危機が、頼る親のいない子供たちに襲いかかっている。


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