今回の日本行きのメーンイベント、父の納骨が無事終わった。


仏壇に安置されていた骨箱を持って、母と弟と僕の3人で、新潟・柏崎の墓苑に行った。受付の男性が骨箱の蓋を開け、初めて中が見えた。白い骨のかけら、灰色の骨のかけらなどが、思ったよりたくさん入っている。薄焼きせんべいのようだ。


男性は、「量が多いので骨つぼはLサイズがよろしいと思います」とカタログの写真を指差し、ついでに、骨がたくさん残っているのは「火葬場の焼き方が上手だったのでしょう」と教えてくれた。あまり焼きすぎると、ほとんど骨が残らないこともあるらしい。


骨を入れた白い陶器のつぼを持って焼香を済まし、墓石まで来ると、台座を外して中が見えるようになっていた。墓の底は2段の棚になっていて、それぞれMサイズなら4人分、Lサイズなら3人分の骨つぼが収容できるようになっている。


作業服姿の男性2人が、台座を元の位置に戻し、水が入らないようにシーリングを施して、納骨は終了。墓苑には1万2千の墓石があるそうだが、平日の昼時とあってほとんど人影は無い。やや標高が高いので、桜もまだ咲いていない。ウグイスの声だけが明るく響いていた。


海岸近くの海鮮センターで刺身や寿司などを買い、帰宅した。


「ご苦労様」と声をかけると、母から「お墓には2人が入ったの?」と聞かれた。認知症が始まっている母は、「お父さんの墓」と聞いて、50年前に亡くなった自分の父親も墓に入っていると勘違いしているようだ。


翌朝、「昨日の墓苑はきれいだったね」と母に言うと、「そうだね。家に帰ってお父さんに伝えようと思ったら、考えてみたらお父さんのお墓だったね」と笑っていた。


仏壇に置かれた父の写真は、目は笑っていないが、口だけ笑っている。弟によると、父は写真を撮られるのが嫌いなので、唯一あった仏頂づらの写真を加工し、口角を引っ張り上げたらしい。


認知症の母は最近、自分のお父さん(僕の祖父)の思い出話ばかりしている。額縁の中の父は、引きつった顔で笑っている。


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