アメリカ独立革命前後に執筆されたパンフレットや手紙等を集めた「The American Revolution」をパラパラとめくった。


当時はいろいろな意見があり、政情も予断を許さない。武力衝突が始まった独立宣言前年の1775年の時点では、13州の住民のうち独立支持派は3割程度しかいなかったらしい。


植民地の意見を独立に向けて急速にまとめたのは、トーマス・ペインが発行したパンフレット「コモンセンス」といわれる。1776年1月に出版され、わずかの間に50万部が発行されたという。


「コモンセンス」が人気を得た理由は、庶民にわかる平易でしかもリズムと格調のある文章、敵をイギリス国王と明確に定めたこと、50ページに満たない簡潔な内容などが挙げられる。


意外なのは、トーマス・ペインがイギリスから渡米したのが独立宣言のわずか2年前だったこと。しかも、ペインは、独立宣言の起草に関わった可能性も指摘されている。


実際にアメリカの独立が承認されるのは1783年のパリ条約だが、ペインはその2年前からフランスにわたり、アメリカ独立に向けた交渉もしていたらしい。ペインはフランス語はできなかったらしいが、市民の団結で特権階級を打倒する思想は1789年のフランス革命にも影響を与えた。


アメリカ独立、フランス革命の影響が飛び火するのを恐れたイギリスは、ペインの権威を失墜させようと迫害を続けた。周囲を敵に囲まれ、孤軍奮闘してアメリカで亡くなったペインの葬儀には、わずか6人の参列者しか集まらなかったという。


独立から2世紀半--。21世紀のアメリカも分断と政争に明け暮れているが、今のアメリカをペインが見たらどんな「新コモンセンス」を書くだろう。


https://shipfan.jp/


https://furikake-mania.com/