レスリーは脳性麻痺で生まれ、まもなく失明した。親にも見放された生後6か月のレスリーは、リムキー夫妻に引き取られた。


IQ68のレスリーは、自分で服を着ることも、1人で食べることもできない。養母のメイさんが「カモン、ベビー」と励ましながら、一歩また一歩と歩き方を教えた。


レスリーは16歳になってもしゃべらない。ある晩、メイさん夫婦が眠っていると、階下からピアノの音が聞こえた。テレビを消し忘れたかと思って降りてきたメイさんが見たのは、小さなピアノに向かって一心に、ショパンのピアノコンチェルトを弾いているレスリーだった。


昼間、テレビで流れた曲をすっかり覚え、弾いていたのだ。しかも、メイさんもレスリーも、それまで、ピアノを練習したこともなかった。


https://youtu.be/ZWtZA-ZmOAM?si=wDBGBOmljpNqaZ8w


サヴァン症候群ーー。自閉症スペクトラムの10人に1人の割合で芸術や数学の才能が抜きん出ていることがある。生まれつきの場合もあれば、事故で脳を損傷した人が後天的になる場合もある。


レスリーはしゃべらないが、ピアノを弾きながら歌うことができる。即興演奏やその場で作詞作曲しながら弾き語りもできる。養母のメイさんが晩年アルツハイマー病になった時は、誰が話しかけても反応しないが、レスリーがピアノを弾くと、両手を挙げたり胸に手を当てたりして喜んだという。


サヴァン研究の第一人者、故ダロルド・トレファート博士は、「どんな人の中にもレインマンがいる」と、脳の不思議な能力について語っている。


不思議なのは、天賦の才能と知的・身体的障害が密接に関わっていること。πを小数点以下2万ケタまで覚え、外国語を7日間でマスターするもう1人の自閉症サヴァン、ダニエル・タメットは「高い才能と深い障害を画す線は細い (The line between profound talent and profound disability is thin)」と指摘している。


AIもすごいが、人間の脳もすごい!


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