コロンビア人のシーザーが真剣な顔でiPadを覗いている。僕に気づくと「マイケル・ジャクソンがまだ生きてるらしいよ」と、スペイン語のニュース番組を見せてくれた。


彼の好きなガセネタ番組で、UFOや宇宙人の特集をよくやっているチャンネルだ。それによると、マイケル・ジャクソンは変装して別名を名乗り、ドバイで暮らしている。素性がバレるので「歌ったり踊ったりしていない」そうだ。


ちなみに同チャンネルによると「エルヴィス・プレスリーもまだ生きている」という。


たまたま図書館で読んだ本が「Counterknowledge(ガセネタ)」。英国のジャーナリスト、Damian Thompson が2008年に書いた。巷に流れるウワサの中から、ニューヨークの同時多発テロやアポロ月面着陸の裏話、代替医療に関する話題やナチスのユダヤ人の虐殺否定説など、根拠のない流言や陰謀説を検証する。


著者によると、危険なのは、①証拠がないのに、なんとなく辻褄が合っている話、②好きな芸能人などが勧める薬品や健康法など。また、陰謀説などが流行る背景には、政府や宗教、企業やメディアなどの権威のほころびや信頼の失墜があるという。


しかも、AIの発達やネットによる拡散で、誤解を招きかねない情報やニュースが次から次へとやってくる。僕もマイケル・ジャクソンやプレスリー生存説を面白がっていると、そのうち足をすくわれるかもしれない。


Photo courtesy of People Magazine 


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