A world of dew

Is a world of dew.

And yet, and yet.

露の世は

露の世ながら

さりながら

(小林一茶)


アメリカで俳句が静かなブームだ。先日ランチに入ったベトナムレストランでは、ウェイトレスが腕に松尾芭蕉の俳句のタトゥーを入れていた。小学校では俳句の授業があるようだし、ネット上では「50 Haikus」という電子書籍が愛好家の間で人気のようだ。


575や季語などのルールはあまり気にしないが一茶、芭蕉、与謝蕪村などの作品が、現代のアメリカ人からも“傑作”として見られているのが面白い。


アメリカでは、詩をよく読む(聞く)人が12%いるそうだ。3千万人いると思えば大きな市場だ。ただし、そのうち70%以上は「紙に印刷された本は買わない」と答えている。


詩人のゲイリー・メックス・グラズナーは、職業を聞かれて「詩人です」と答えると、皆「ありえない」という顔をするという。実際、詩を1本書いて支払われる原稿料は1ドル50セントから300ドル。有名な詩人でない限り、何百ドルはもらえないだろう。


グラズナーは「詩人で生きていくには」という本を出版し、詩を売り込むマーケティング手法を紹介している。観光地サンタフェのホテルと契約し、宿泊客の枕の上に毎日オリジナルの詩を置くサービスを提案。同時に地元の新聞やテレビにプレスリリースを送って、同サービスを紹介してもらい、詩人として名前を売る。


また、詩人たち100人を集めたアメリカ横断バスツアーのイベントを組んだり、アルツハイマー患者の詩作グループを作ったり、大手自動車会社から新車のプロモーション責任者として契約を取った実績を紹介している。同書では他にも、詩人仲間が刑務所の囚人に向けた詩作教室を行なって好評を得たエピソードも出てくる。


同氏は、詩人として生きていくのは楽ではないが、「すばらしい詩を書けば世代を超えて永遠に残る可能性がある」と詩作の魅力を語る。


インターネットで自分の家から世界を相手に仕事ができる時代。しかも、詩は原料もいらないし、輸送費も必要ない。アーティストが似顔絵を描くように、「あなたを題材に詩集を作ります」というアプローチはどうか。「ビジネスとしての詩」の可能性は広がっていくのではないか。


When in eternal lines to time thou grow’st.

So long as men can breathe or eyes can see,

So long lives this, and this gives life to thee.

永遠にの詩の中で、君は生き続ける、

人が生き続ける限り、

この詩が、君に命を与え続ける限り。

(シェイクスピア、ソネット18番より)


https://shipfan.jp/

https://furikake-mania.com/