NBAダラス・マーベリックスCEOのシンシア・マーシャルが書いた闘病記「You’ve been chosen (選ばれし者)」を読んだ。

ワーキングクラス出身の黒人女性で、米国の大手電話会社AT&Tサウスカロライナのトップを務めていた時、突然、大腸がんの宣告を受ける。それから1年間の闘病生活を、それまでの人生や、家族や仲間とのふれあいを織り交ぜながら振り返った記録だ。

父親の虐待と貧しい家庭の中で育ってきたマーシャルだが、信仰と教育を重んじる母親の強い愛情の中で人生を切り開いてきた。50歳の誕生日直前にがんを宣告された時、母親は「神の力を証明するためにあなたは選ばれたんだよ」と心から励ましてくれた。

マーシャル自身も、神を信じ、がんを克服し、病気を通じて知り合った多くの人を励ますことが、自分の使命と決め、生き抜いていく。

印象に残ったのは、オバマ大統領との出会い。がんの発病前、当時イリノイ州選出の上院議員だったオバマと出会う。「オバマさん、あなたのために祈ります」。数年後、がんの闘病中に、今は大統領となったオバマと再会する。「Madam President. You are in my prayers (あなたのことを祈っていますよ)」と激励された。

心の力は、一見ネガティブなものも、深い意味のある生き方に転換する。試練があるという事は、使命があると言う事。力強い生き方だ。