適菜 収「ニッポンを蝕む全体主義」(祥伝社新書・840円+税) | 野球少年のひとりごと

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また、父・洋画家「仲村一男」の作品を毎日紹介しています。

日曜日であるが、わが家の向いにある小学校(こちらは周回路を隔てて教室棟がわが家の裏庭に面している)の教職員用の駐車場(50台ほどが駐まる)に朝から1台駐まっている。階段の踊り場の窓から確かめてみると、女性の教員が教室の外に並ぶおそらく朝顔(1年生がめいめい育てている)に如露で水をやっている。おそらく担任しているクラスの全員(40名)の鉢植えに水をやっているようだ。勿論、そのために登校しているとは思えないので、学期末を控え何かと忙しいのだろう。土曜日はいつも数人分の車が駐まっているが、今日のように日曜日に見かけるのは珍しいことだ。休日出勤しても特別の手当が出ないようだし、教員のなり手が目に見えて減っているようだが、待遇面で何とかならないのだろうか。彼らの日々の多忙ぶりが直接窺えるので、よけいにそのように考えるわけだ。午後9時を過ぎないと、すべての教室の灯りが消えないような現実を解消してやらないといけない思う。

 

本の話である。今日もアマゾンから荷物があって開封すると、適菜 収「ニッポンを蝕む全体主義」(祥伝社新書・840円+税)、「コロナと無責任な人たち」(祥伝社新書・860円+税)の2冊が現われる。刊行年は、2022年と2021年。

 

「ニッポンを蝕む全体主義」 日本の病理 チープなナショナリズムと売国奴が跋扈(ばっこ)する暗黒世界(ディストピア)!

 「今日の日本が全体主義化しているというのが大げさに聞こえるのだとしたら、それは、全体主義というものに対する理解不足のせいである」(解説・中野剛志)

 新しい全体主義の正体とは

 近代の大衆が生み出したイデオロギーが、「全体主義」である。困難と義務を放棄した"できそこないの個人"が全体主義を望むのだ。20世紀のナチスやソ連、現代では中国などが全体主義国家として挙げられるが、むしろ日本の症状のほうが深刻だと著者は警鐘を鳴らす。/「自己欺瞞(ぎまん)」によって近代を受け入れた日本には、全体主義に対峙すべき「保守」が根付かなかった。そこへ、合理性と効率性を追求するグローバリズムと社会の分断を煽る新しいテクノロジーが浸透し、人間性の抹殺が日々進んでいる、と。/我々に残された対抗手段はあるのか?ニッポンを蝕む全体主義の正体を暴く。

 公文書改竄(かいざん)、メディア支配、監視テクノロジー……

 新しい全体主義の構造と大衆のメンタリティを分析

  はじめに-全体主義は近代人がかかる病

  第1章 大衆が「指導者」を生み出す

  第2章 支配されたい人たち

  第3章 夏目漱石が見抜いた日本の行く末

  第4章 アレクシ・ド・トクヴィルの予言

  第5章 維新の会はナチスの再来か?

  第6章 安倍晋三は財界の下請けだった

  おわりに-国家という意識の衰退

 

   

 

「コロナと無責任な人たち」 無恥な政治家、デマを流す評論家、陰謀論を垂れ流すマスメディア……A級戦犯は誰だ!?コロナが炙り出した日本の凋落

 パンデミックは人災だ!

 2020年1月に始まった新型コロナによるパンデミックは、戦後の平和ボケと馴れ合いを享受してきた日本のリーダーたちの本性を暴いた。/数百億円を投じて世界から失笑された「アベノマスク」、反対を押し切って強行された「Go Toキャンペーン」、都民に戸惑いだけを残した「東京アラート」など、愚策の見本市のような政策が次々に発表されてきた。/また、畑違いの分野の素人がコロナ禍に乗じて根拠のないデマを声高に発信し、そのたびに国民の間で不信と分断が生まれた。/本書では政治家、知識人たちの腐敗を抉り出し、知性なき国家の惨状を白日のもとに晒す。

 ナショナリズムの衰退と国家の機能不全

 新型コロナウィルスの拡大は、わが国が置かれている状況を明らかにしてしまいました。(中略)/わが国では、医者でも感染症の専門家でもない素人が、大声をあげて専門家を罵倒し、「見通し」を語り、無責任な言論を繰り広げてきました。/自称国際政治学者、自称文芸評論家、元IT企業社長、畑違いの大学教授、いかがわしい政治家……(中略)/こうした状況の背後には、ナショナリズムの衰退と国家の機能不全を見出すことができると私は思っています。本書では、こうしたわが国の状況と無責任な人々の言動を振り返っていきます。(「はじめに」より抜粋)

 

   

 

フランスで描いた水彩によるスケッチから

「洋画家 仲村一男」のホームページ

 http://www.nakamura-kazuo.jp/