(再録)飯島耕一「アメリカ」(思潮社・2800円+税) | 野球少年のひとりごと

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(再録・2022.2.3既出)

わが家の前にあった市営プールが壊され、その内の5200㎡は宅地として売り出されるが、目前の1700㎡は付近の小学校の教職員用の駐車場となる。取り壊しは昨年のうちに終わり、いまは駐車場とすべく整地作業が行われている。今日など10人ほどの作業員が入り、様々な建機(油圧ショベル、ブルドーザー、モーターグレーダー、ローラなど)を使っての作業をしているわけであるが、しょっちゅう出入りする大小のダンプカーなどを含め滅多に目に掛らない風景を、二階の部屋から夫婦してときどき眺めている。中に、長男が勤めているヤンマー製のものがあったりして中々楽しいところがある。午後3時には、親方らしい人が若い社員に命じ近所のコンビニまで缶コーヒーを買いに走らせている。一服するときは、若い社員同士が何か冗談でも言っているのか小突き合ったりしている。こういう現場を眺めていると時間を忘れる。整地の順序も知ることが出来るし、しばらくは楽しめそうである。

 

今日アマゾンから届いたのは、飯島耕一「アメリカ」(思潮社・2800円+税)で、帯に「飯島耕一渾身の長編詩集」とある。本書で、読売文学賞と詩歌文学館賞を受賞している。もう1冊もアメリカに因んだ、吉増剛造「静かなアメリカ」(書肆山田・3800円+税)で、吉増を代表する一冊(対話・詩・エッセイからなる)である。たまに詩人の作品(詩集やエッセイ)を読みたくなる。田村隆一を筆頭に鮎川信夫、長田 弘、岩田 宏、茨木のり子、谷川俊太郎、関根 弘、中桐雅夫、中村 稔、天沢退二郎、黒田三郎、吉岡 実、平出 隆などのものは繰り返し読んできた。特に、詩人のエッセイには独特のものがあって好きである。詩集も、昔で言うならLPを1枚買うくらいの予算で買えたので、同じような気持ちで購入してきたし、音楽を聴くのと同じように楽しんでいる。

 

飯島耕一「アメリカ」 空は 欺かれ るのに慣れ 武器の谷のアメリカ 悲しいアメリカ それは私だ

 コルトレーンのサックスの悲鳴、ヴードゥー教の歓喜と恍惚、土方 巽の狂乱―詩人の連想と旅の果てに辿りつくのは「アメリカ」という巨大な空虚と喪失である。鮎川信夫の「アメリカ」から半世紀、戦後詩の最終ランナーとして9.11以後の混沌に問う詩の力、ことばの力。飯島耕一渾身の長編詩集。

 

   

 

吉増剛造「静かなアメリカ」 対話・詩・エッセイ 対話(堀内正規氏・大岡信氏・石川九楊氏・多木浩二氏・唐十郎氏との)を中心軸として幾重にも幾重にも旋回する思考と言葉/詩とエッセイ。永い冬眠をしていて、ふっと、薄靄の香りに気がつくようにして、眼をさました、…そんな書物。「詩の地面」の声を聞く、永い旅の記録。

 

    

 

写真は、東山丘陵運動公園の遊歩道で撮影する。