冷泉彰彦「9.11 あの日からアメリカ人の心はどう変わったか」(小学館・1600円+税) | 野球少年のひとりごと

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また、父・洋画家「仲村一男」の作品を毎日紹介しています。

 

日曜日の今日も、孫娘たち(中学2年になる双子の)は娘の連合いの運転する車で南海貝塚駅前にある進学塾まで出かけ、期末テスト対策の授業と模擬テスト(社会、理科の2科目)を受ける予定。1時から6時までというから、中々ハードスケジュールである。一方、隣に住む次男のところの長男は来春の受験を目指して関大のオープンキャンパスに出かけている。こちらも10時からの開始に間に合うように、8時過ぎには息子の運転する車で出かけた。いまのところ社会学部に興味を持っているようであるが、見学をしてみてそれがさらに強くなったのかどうか。私は社会学部の前身である文学部新聞学科を卒業(昭和44年に)しているが、当時と比べても遙かに難しくなっていて、社会学部をとらえても同志社につぐ入試偏差値(近年の関学の凋落があるにしても、母校が関学より難しくなったといわれても俄に信じがたいところがある)という。それと男女比が文学部とならび女性のほうが上回っているようなので、入学さえすれば楽しい学園生活が待っていると思う。孫娘たちの第一志望高校は、その従兄弟の通う府立岸和田高校で、中間テストの成績(5教科で480点と467点)を維持できればじゅうぶん可能であると考える。それにしろ孫たちの受験に関して、ゲーム感覚というか無責任に眺めていられるのはその関係性もあるが、渡世のなかで学歴の大したことのなさを感得できたところが大きい。(ほぼ「学歴」しかない、とんでもない多くの輩を見てきて)まあ、とりあえず目前の目標をひとつひとつ熟してゆくことが、彼らにとって大事なことには違いないが。

 

本の話である。本箱の中から未読のアメリカにかかわるもので、特に「9.11」がテーマの、冷泉彰彦「9.11 あの日からアメリカ人の心はどう変わったか」(小学館・1600円+税)とリチャード・ピッチョート&ダニエル・ペイズナー「9月11日の英雄たち(世界貿易センタービルに最後まで残った消防士の手記)」(早川書房・1900円+税)の2冊のことを。

 

冷泉彰彦「9.11 あの日からアメリカ人の心はどう変わったか」 「わたしはこのレポートで個々のアメリカ人が911以後をどのようにして生きようとしているかを知ることができた」村上龍氏がこう絶賛する本書は、ネット・メディア『JMM~ジャパン・メール・メディア』(発行部数10万部)上で、毎週、発信されてきた『From911/USAレポート』が元となっています。 米国在住作家・冷泉彰彦氏が、刻々、変わってゆく人々の心の内をリアルタイムで描写し、かつ著者自らが鋭く分析した現代アメリカの深層を大幅に加筆、メディアの報道だけでは知り得ない真のアメリカの姿を、この本は浮き彫りにしています。アメリカ人はあのNYテロの衝撃からほんとうに立ち直ったのか。その答えは本書の中にあります。

 

   

 

グラウンド・ゼロを生き延びた私は、この顛末を語り聞かせる義務がある。崩壊に飲みこまれながら生還を遂げた消防士が明かす感動の市民救出劇、そして奇跡のサバイバルの記録。

 9.11で現地の消防士たちが繰り広げた献身的な活躍は、半年をへた今も記憶に新しい。本書は現場で陣頭指揮にあたりながら崩壊するビルに飲みこまれた消防士が語る唯一無二の「内部」資料であり、人間の雄々しさを記録する感動の手記である。

 世界貿易センター北タワーのB階段を、ものすごい風が吹き荒れた。圧縮された大量の空気がビルを駆け下りたのだった。それが轟音をともなって近づいてきたとき、私にはわかったーこの音と衝撃が、30分前に南タワーが崩れたとき感じたものの正体だったのだ。いまこの階段には南タワーの崩壊という事実を知らない者もおり、彼らは不安こそ抱いているかもしれないが、差し迫った恐怖を感じてはいまい。だが私はちがった。もし壁の向こうで響いた同じ轟音を聞かず、その破壊力を知らなかったら、こんな恐怖を味わうこともなかっただろうに。しかし、その瞬間に、私にはわかった。この猛烈な風を起こし、ビル全体を根本から揺さぶることができるのはただ一つ。自分のいる、この北タワーの崩壊だ。私は死を覚悟した。

 同時多発テロに見舞われた世界貿易センタービルへ市民救済のため捨て身の突入を敢行、崩壊するビルの何千トンもの瓦礫の下敷きになりながら奇跡の生還を遂げた消防大司令官が自ら語る「グラウンド・ゼロ」内部からの脅威と感動のリポート。

 

   

 

ポルトガル、フランスで描いた水彩によるスケッチから

「洋画家 仲村一男」のホームページ

 http://www.nakamura-kazuo.jp/