柏木 博「20世紀をつくった日用品 ゼム・クリップからプレハブまで」(晶文社・2300円+税) | 野球少年のひとりごと

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本のことを中心に、関西学生野球や高校野球のことをつぶやいています。
また、父・洋画家「仲村一男」の作品を毎日紹介しています。

金曜日の夕方はサラリーマン時代では格別で、会社が退けてから難波に出てジュンク堂書店やタワーレコード、時には無印良品やなんばcity、高島屋などで買い物をした。そして土曜日と日曜日は、子供が小さい頃の夏はプールに連れて行ったり、高校野球の大阪大会(予選)がはじまると、こちらはひとりで球場へ足を運んだ。何も予定がないときはもっぱら読書に勤しんだ。旧居時代は父(わたしが36歳のときに亡くなって後は)のアトリエを書斎代わりに使用した。最初は、JAZZやクラシックをヤマハNS-1000モニターをサンスイAU-907で鳴らしながら、後年はJBL4318をデノンDA-2000AEに買換え、ロック(アメリカやイギリスの)を聴くことが増えたが、読書をしているときはいつも音楽を聴いていた。そういうふうにしながら二日間を過し月曜日を迎えるわけだが、月曜日はずっと苦手でそれは引退をするまで続いた。そういう意味で、毎日が休日のいまがいちばん幸せとも言える。

 

本の話である。2021年12月に75歳で亡くなった、デザイン論・デザイン史で独特の発言をし続けた(著書も沢山ある)柏木 博の著作から、「20世紀をつくった日用品 ゼム・クリップからプレハブまで」(晶文社・2300円+税)と「道具(メディア)の政治学」(冬樹社・1800円+税)の2冊のことを。「20世紀をつくった日用品 ゼム・クリップからプレハブまで」は1998年の刊行であるが、晶文社らしいお洒落なつくりで図版も多く、勿論、著者である柏木のそれぞれのモノに対する切り口も(或いは、モノの選別も)独特で、読物としても楽しいものに仕上がっている。もう1冊の、「道具(メディア)の政治学」もほぼ同時代の1985年に刊行で、当時全盛をきわめたポストモダンにこそ相応しい言説に満ちている。少し懐かしいところもあって再読したいと考えている。それにしてもわたしと同年(1946年生まれ)の、そういう意味で世代を代表する才能の早世(いまの時代の、特に才能のあるひとの75歳は、早世といってよいように思う)を大変惜しむ。

 

柏木博「20世紀をつくった日用品(ゼム・クリップからプレハブまで)」 ・コンタクト・レンズの発案者は、レオナルド・ダ・ヴィンチ。・自動販売機の発祥は、紀元前のエジプト。・システム・キッチンは『アンクル・トムの小屋』のストウ夫人が考えた。
 さまざまなモノには、それぞれの物語がある。だが、共通しているのは、今世紀に入って、爆発的に普及したということ。/大量生産、使い捨て、衛生観念、時間の短縮、モータリゼーション、プライバシー、情報伝達…。20世紀文化の特徴は、日用品から見えてくる。/モノが生まれて社会が変わるのか?社会の変化がモノを生むのか?今ではあまりにも身近なモノたちの起源をたどり、20世紀という時代とデザインを考える、日用品大全。

 

   

柏木博「道具(メディア)の政治学」 ポストモダンデザインの思想を考える それは、差異を自己増殖させつつ延命する近代デザインの論理から、ほんとうに「脱出」しえたのだろうか?

 

   

 

スペイン、イタリー、フランスで描いた水彩によるスケッチから

「洋画家 仲村一男」のホームページ

 http://www.nakamura-kazuo.jp/