(再録)松本健一「大川周明」(岩波現代文庫・1200円) | 野球少年のひとりごと

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(再録・2022.1.6既出)

午前中に降っていた雪も午後には止み晴天、ただ気温は低く正午で3度。庭には出るが外出する気は起こらない。考えてみたら、年明けから門前に出たのは、年始にやって来た長男夫婦一家が帰るときに見送りに出ただけである。昨年の今頃は、毎日のウォーキングをスタートさせていたから大違いである。当初の目的であった糖尿病(病院で予備軍であると言われて)に関わる血糖値などの数値が正常に戻り(これはその主因であった、服用中のステロイドの量が40%減じたことにもあると思うが)その必要性を少し感じなくなったことと、むしろ寒い日に無理することもないという割り切りからである。風邪をひいて、コロナなどを想定しての余計な検査を受けたくないこともある。余程天気がよく(気温が10度を越え風もなく晴天の)体調も整っているような条件でしか歩く気はしない。春になれば自然に歩きたくなるだろうし、とにかく無理はしない。

 

本の話である。大川周明に関してのもので、松本健一「大川周明」(岩波現代文庫・1200円)と玉居子精宏「大川周明 アジア独立の夢(志を継いだ青年たちの物語)」(平凡社・880円+税)の2冊のことを。「大川周明」の著者である松本謙一には「右翼」や「ナショナリズム」関連の著作が沢山あり一頃はよく読んだが、菅直人内閣のときに内閣官房参与になったそのときの立ち居がわたしの好みではなかったこともあり、著作を遠ざけてしまったところがある。2014年に68歳で亡くなっているが、専門の近代日本精神史、アジア文化論の中には見るべきものも多く、再読の必要もあるかなと考えている。もう1冊の、「大川周明 アジア独立の夢(志を継いだ青年たちの物語)」の著者である玉居子精宏には、『戦争小説家 古山高麗雄伝』があって、これがとてもよかったので本書も、大川周明とその時代をどのように描いているのか楽しみである。

 

松本健一「大川周明」 ナショナリズム、イスラーム、天皇制―大川周明問題を解明する

 東京裁判冒頭で東条英機の頭を叩き、精神病院に収容された民間人唯一のA級戦犯、イスラームに造詣の深い宗教学者、インドなど植民地への視点を堅持にした特異なアジア主義者、いくつかのクーデタを計画した国家主義者―大川周明はナショナリズム、アジア、イスラーム、天皇制等々、現代の難問を解く鍵である。渾身の評伝。

 

   

 

玉居子精宏「大川周明 アジア独立の夢(志を継いだ青年たちの物語)」 昭和十三年、東京西郊に、ある“私塾”がつくられた。思想家・大川周明を所長とする東亜経済調査局付属研究所。外務省、陸軍、満鉄が出資し、日本の南方進出に貢献する人材を育てることが目的とされた。二年間の修学の後、卒業生は東南アジア各地に渡り、戦争の裏面や独立運動の進展に関わることになる。卒業生への聞き取りと資料をもとに“知られざる教育機関”の実態を明らかにする。

 

   

 

 

写真は、東山丘陵で撮影する。