(再録)堀川惠子「原爆供養塔(忘れられた遺骨の70年)」(文春文庫・880円+税) | 野球少年のひとりごと

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(再録・2022.1.2既出)

午後から、NHKテレビで全国大学ラグビー選手権の準決勝の第二試合、京都産業大対帝京大戦を観ている。どこであれ関西の大学が出ているとそのチームを応援することになるが、昨年優勝の天理大に続くことが出来るかの興味で観戦したが、最後は実力の差と言ってよいと思うが、帝京大が37対30で勝利した。ゲーム中も感じたことであるが京都産業大のキャプテンのいつも笑顔を絶やさない姿、とても感じがよかった。試合終了後の、文字通りのノーサイドがラグビーのすべてだとも思うが、同時にゲームを作り上げて行く(両チームとともに)主審の姿勢も、他のスポーツにない見どころのひとつである。

 

本の話である。引き続き堀川惠子の著書から、「原爆供養塔(忘れられた遺骨の70年)」(文春文庫・880円+税)と「戦禍に生きた演劇人たち(演出家・八田元夫と「桜隊」の悲劇)」(講談社文庫・900円+税)のことを。「原爆供養塔(忘れられた遺骨の70年)」は、タイトル通り広島の原爆供養塔に纏わる話であるが、もう一つのヒロシマの物語と言って良く、本書で「大宅賞」を受賞している。次の、「戦禍に生きた演劇人たち(演出家・八田元夫と「桜隊」の悲劇)」は、帯に「あの時と同じ空気が今、この国に漂ってはいやしないか。」「演劇界を襲った検閲、投獄、拷問の時代。そして、原爆投下による広島の悲劇を、圧倒的な筆致で描く、傑作ノンフィクション!」とあり、本書で「AICT演劇評論賞」を受賞している。

 

「原爆供養塔(忘れられた遺骨の70年)」 広島平和記念公園の片隅に、土饅頭と呼ばれる原爆供養塔がある。かつて、いつも黒い服を着て清掃する佐伯敏子の姿があった。なぜ佐伯は供養塔の守り人となったのか。また、供養塔にまつられている被爆者の遺骨は名前や住所が判明していながら、なぜ無縁仏なのか。もう一つのヒロシマの物語。

 

   

 

「戦禍に生きた演劇人たち(演出家・八田元夫と「桜隊」の悲劇)」 1945年8月6日、移動劇団「桜隊」が全滅した。著者は、早大演劇博物館の倉庫から演出家・八田元夫の膨大な遺品を発見。そこには、大正期に花開いた新劇が、昭和に入り治安維持法による思想弾圧でいかに蹂躙されたか。検閲、投獄、拷問の歴史と広島の悲劇までが記されていた。

 窮屈な世の中だった。もっと窮屈になるやもしれぬ。拷問は嫌だ。戦争は嫌だ。大丈夫、いくらなんでもそんなことにまでなりゃしないだろう。当時の人々だってそんな風に思っていたに違いない。その時私たちは、足を踏ん張って立ち続けていくことができるだろうか。-ケラリーノ・サンドロヴィッチ(解説より)