養老孟司「養老孟司の人生論」(PHP文庫・810円+税) | 野球少年のひとりごと

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また、父・洋画家「仲村一男」の作品を毎日紹介しています。

昨日で読了の、「長谷川伸全集 第一巻 紅蝙蝠 戸並長八郎」(朝日新聞社・1200円)は、浪人戸並長八郎を主人公の実に痛快な時代小説であるが、登場人物の悉くの人物造形がしっかりしていてしかもとてもテンポのよい小説運び、それもその筈で昭和5年から6年にかけて朝日新聞に連載されたものである。長谷川伸を世に知らしめた記念碑的作品である。今朝から読みはじめた、「長谷川伸全集 第二巻 蹴手繰り音頭 馬頭の銭」(朝日新聞社・1200円)は、「蹴手繰り音頭」が昭和10年に毎日新聞に、「馬頭の銭」が昭和6年にサンデー毎日に連載され、それぞれ人気を博したもの。現在ではまったく使われなくなった語句、言い回しも散見されそれが返って文章に彩りを与えている気がする。先々月から読み始めて本書で8冊目であるが、すべてがたいへん面白い。お勧めですと言いたいところであるが、ほぼすべてが古本頼みでいちばん良いのは全集の端本を順番に求めてゆくことである。1冊1000円ほどで買い求めることが出来るので、コスパ(現在なら、1冊3000円をくだらない装幀でありボリュウム)は最高にいい。

 

昨日に続き養老孟司の著作から、「養老孟司の人生論」(PHP文庫・810円+税)、「ぼちぼち結論」(中公文庫・533円+税)、「養老先生と虫」(山と渓谷社・900円+税)の3冊のことを。

 

「養老孟司の人生論」 自分の生き方とは 生きてきた意味とは 人間にとって死とは。生きるとは。

 運、寿命、家族、仕事、学問、科学、医療、宗教、世間、日本人……死から語りはじめる逆向き人生論 名著を文庫化!

 この本は、私がいうこと、書くことの根拠を、自分の人生から掘り出そうとした試みです。講演や著書には、根拠が明瞭なことばかりを書いているわけではありません。その根拠を、できるだけ自分で探してみようとしました。(「あとがき」より)

 どうしたら「生きられるか」、そんなこと、私に訊かないでください。わかるでしょ。その疑問に「自分で」答えること自体が、「生きる」ってことなんだから。(本書の第10章「若いころ」より)

 「世間で生きる」か。「自分流で生きる」か。

  ▶寿命は運。私は専門家におまかせします。

  ▶私の価値観が確立した瞬間

  ▶フツーを重ねるとトクベツになる?

  ▶人一倍世間を気にする「変わり者」

  *『養老孟司の人生論』(『運のつき』の改題・復刊)を装いを新たに文庫化

 

   

 

「ぼちぼち結論」 「自分探し」をする前に、世界をよく見てみよう 「理性」に振り回される現代世界を憂い、社会「常識」の怪しさを指摘し、虫捕りの時間がないことをぼやく。養老孟司の時評シリーズもついに完結篇。ホリエモン・村上ファンド騒動、子どもの自殺、団塊世代の定年…。さらに、幸せについて、文明についても考察。さあ、結論が見えてきた。

 

   

 

「養老先生と虫」 人生の最終結論 役立たずでいいじゃない 虫を相手にすると、そういう問題の解答がひとりでに見えてくる ハチに刺されて意識消失…命がけの採集記も収録 だから、役に立たないといったでしょ。

 ただ面白いから一日中、虫を見ているだけ。そうしているうちに、なにかがわかってしまう。物事にすべて理由があるとは限らないのである。長年、虫と自然に教わってきた世界の見方を明解に楽しく語る養老孟司流の生きるヒント。虫に憑りつかれた面々が虫好きの楽園・ラオスに集まった命がけの採集記も収録。文庫版オリジナルエッセイ付き。

 動物も昆虫も植物も、みんな行きがかりだ。樹木は生えてしまったから仕方なくそこにいる。我々は生きているから死ぬまで生きるほかないのである。(本文より)

 

   

 

 

フランスで描いた水彩によるスケッチから

「洋画家 仲村一男」のホームページ

 http://www.nakamura-kazuo.jp/