高橋源一郎「さよならクリストファー・ロビン」(新潮社・1400円+税) | 野球少年のひとりごと

野球少年のひとりごと

本のことを中心に、関西学生野球や高校野球のことをつぶやいています。
また、父・洋画家「仲村一男」の作品を毎日紹介しています。

午前中、月参りで岸和田の西方寺さんが来られる。いつものように法然上人の「一枚起請文」を含む「浄土宗日常勤行集」を唱えていただく。私たち夫婦も経文を見ながらであるが唱和する。読経後に、西方寺さんの檀家に話が及ぶ。岸和田の名だたる旧家が名を連ねていて、わが家などは洋画家であった(異色の)父のお陰で、その末席に加えて貰っているところがある。考えてみたら私もおそらく異色のほうで、仏壇のある書斎に本が溢れる風景などは、檀家の中でもそうないと思われる。午後に、いつも野菜をいただくYさんが小雨の降る中、たくさんの八朔、分葱、玉葱などを届けてくれる。門前で、女房ともども10分ほど立ち話をする。Yさんとは地域の活動を通じて知り合った(民生委員として一緒に3年間活動した)が、その民生委員のOB会が木曜日に予定されている。

 

本の話である。一昨日に続き高橋源一郎のもので、「さよならクリストファー・ロビン」(新潮社・1400円+税)、「さようなら、ギャングたち」(講談社・880円)、「優雅で感傷的な日本野球」(河出文庫・700円+税)、「ジェイムズ・ジョイスを読んだ猫」(講談社・1200円)の4冊のことを。「ジェイムズ・ジョイスを読んだ猫」が読書日記(エッセイ集)である他は3冊とも小説である。刊行年は、順番に2012年、1982年、2006年(単行本は、1988年)、1987年。

 

「さよならクリストファー・ロビン」 最後に残ったのは、きみとぼくだけだった──死なないものたちの物語。著者最高傑作!!お話の中には、いつも、ぼくのいる場所がある──いつも考えている幼い少年と、なにかを書く仕事をしているパパ。「お子さま携帯」が時々「けいほう」を鳴らす日々。ぼくは何でもパパに聞き、パパは一緒に考える。物語をめぐり、あらゆる場所を訪れ、新しい物語の誕生に立ち会う。「虚無」と戦うものたちの物語。

 

   

 

「さようなら、ギャングたち」 倦怠を撃破する言葉と弾丸!群像新人小説優秀作

 (吉本隆明) 「さようなら、ギャングたち」は現在までのところポップ文学の最高の作品だと思う。村上春樹があり糸井重里があり、村上龍があり、それ以前には筒井康隆があり栗本薫がありというような優れた達成が無意識に踏まえられてはじめて出てきたものだ。

 (瀬戸内晴美) 高橋源一郎さんの小説の熱烈なファン第一号として、最初の著書の推薦文を書くことをほこりと思っている。新人の才能は、つねに脚光の陰に暗闇が待機している。いま、その光の中に躍りでた新しい文学の豊かなつぼみが、爛漫の大輪の花を開く日を一層の期待をこめて待ち望む。

 

   


「優雅で感傷的な日本野球」 ぼくは野球を知らなかった。ぼくの友だちもパパもママも先生さえも知らなかった。「野球を教わりたいんです」-“日本野球”創生の神髄が時空と国境を超えていま物語られる。1985年、阪神タイガースは本当に優勝したのだろうか?第一回三島由紀夫賞受賞の名作。◎新版へのあとがき=「ぼくがこの小説を書いた理由」

 

   

 

「ジェイムス・ジョイスを読んだ猫」 高橋源一郎のまるごと楽しい読書日記 洋書・単行本・雑誌・コミック・音楽・広告・テレビ・映画・動物・人間etc.
(目 次)

1.旅日記(のようなもの)「荻窪タイムス」特別号/高橋源一郎の南国書斎生活/オーストリアン・フットボール/アカハナグマの空虚と充実について/留守番電話伝来記
2.ブックインタビューポスト・モダンの傾向と対策/俳人中曽根康弘氏の非芸術的鑑賞法/日常生活としての読書、または作家T氏の「読書日記」/ベンザ・エースを買ってください/今日も無意味でむず痒い
3.’60年代のおもちゃ箱若き日のアンディ・ウォホール/アメリカの夢の終わり/悪魔に魅せられた男/ロンドンの日本作家カズオ・イシグロのこと/カーポティ最期のインタビュー/ニューヨークの「新人類」ミュージシャン/「映画がどんどん汚らしくなってきた」とJ.クロスビィは嘆いた

 

   

 

フランスで描いた水彩によるスケッチから

「洋画家 仲村一男」のホームページ

 http://www.nakamura-kazuo.jp/