(再録)北村太郎「センチメンタルジャーニー(ある詩人の生涯)」(草思社・1748円+税) | 野球少年のひとりごと

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(再録・2021.12.10既出)

二年続きで忘年会の誘いがなく、この後の予定といっても年賀状を作るくらいしか残っていない。それと余裕があれば本に溢れる書斎の整理はしたいと思っている。14帖の書斎であるが、5本の本箱と作り付けの棚だけでは未読のものが収まりきらなく(読了の8000冊ほどは裏庭に設えた専用の倉庫に収納している)なって、床への直置きが増えて来ている。おそらく未読のもの(他の洋室やリビングにも本箱を並べているが)が4000冊を越えている。今年も400冊ほど購入し、夏中忙しかったこともあり読了したのはその半分にも満たないので、未読(積ん読)のものはさらに増えた。近年、いわゆる新刊を購入することは減った(新刊が出る度に購入するといった小説家や思想家、哲学者が死に絶えて)が、時代を超えて古い作家などの絶版本を古本で購入することが増えた。最近買った、「安岡章太郎集」全10巻などがそうであるが、古本の購入はアマゾンと「日本の古本屋」のいずれもネット上でのもので、それを通じて馴染みの店もできた。わたしが出不精(現役を離れて12年、出不精に拍車が掛っている)でなければ、それらの店舗まで足を運びたいところである。尤も、その店舗自体、東京を中心に全国に散らばっているのであるが。

 

今日、取り上げるのも詩人の伝記の類いで、北村太郎「センチメンタルジャーニー(ある詩人の生涯)」(草思社・1748円+税)と彼の未刊行詩と全エッセイを収録の「北村太郎 未刊行詩とエッセイ1946-1992 光が射してくる」(港の人・3800円+税)の2冊である。この2冊も本箱に眠らせてきたもので、それぞれ1993年と2007年の刊行である。

 

北村太郎「センチメンタルジャーニー(ある詩人の生涯)」 生い立ちから晩年までをせきららに語った詩人の絶筆

 懐かしき少年時代、詩へのめざめ、妻の死、晩年の恋、荒地の詩人たちの肖像など。随所に鋭い批評が光る。

 

   

 

「北村太郎 未刊行詩とエッセイ1946-1992 光が射してくる」 隠された半世紀にわたる詩人の営為の記録。 

 鮎川信夫、田村隆一らと共に「荒地」派として活躍した詩人北村太郎。ここには戦後、詩人が詩人として生まれる前の詩があり、若々しい論評がある。詩人の、一年、一年と時をへて、彫り込んでいった滋味な文章がある。その時々の北村太郎の声がたしかに聞こえてくる。

[本書のおもな内容] 1946年から1992年までの著作集、単行本未収録作品-幻の初期詩集として発見された「亡霊」「沈黙」「芥川多加志の霊にささぐ 弔歌」ほか-戦後いちはやく、カフカの「変身」を論及した評論「『変身』について」-「『裏窓』とヒッチコック」「現代アメリカ文学と映画」など映画評論-1950年代、中原淳一主宰の「ひまわり」「ジュニアそれいゆ」に連載した「読書案内(300頁)