(再録)堀江敏幸「定形外郵便」(新潮社・1800円+税)、「回送電車」(中央公論新社・1900円 | 野球少年のひとりごと

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(再録・2021.12.6既出)

昼頃に家を出て、娘の運転する車で岸和田市民病院まで出かける。皮膚科で、いま治療中の水疱性天疱瘡に関しての3カ月ぶりの受診。すべてが順調(軽症であることで)で、メインのステロイドともうひとつの薬を少しだけ減量。次回は同じく3カ月後の3月7日で、この日は先に血液検査を行う必要がある。その血液検査も、この1年ほどは血糖値(服薬しているステロイドの影響で数値が上がる可能性があり)や他の数値も安定しているので、それを維持するためにも冬場のウォーキングやウェイト・トレーニングが欠かせない。病院の待ち時間で、新刊の堀江敏幸「定形外郵便」(新潮社・1800円+税)を50頁ほど読む。堀江敏幸のものを読むのは久し振りであるが、本書は芸術をテーマの81篇からなるエッセイ集で集で、わたしなどがよく知る画家や小説家が登場するので、楽しく読める。続けて読もうと考え、堀江敏幸の2001年刊行の散文集である「回送電車」(中央公論新社・1900円+税)を机上近くに持って来る。年末にかけて、「安岡章太郎集」(全10巻)を中心にしながら並行する形で読めたらと考えている。

 

堀江敏幸「定形外郵便」 活字で美を読む81篇の贈りもの ジャコメッティ、駒井哲郎、モンテーニュ、東山魁夷、シモーヌ・ヴェイユ、ユルスナール、小村雪岱、ルクレール、ピカソ、倉俣史朗……。そのまなざしで触れ、慈しんだ作品と言葉をめぐるエッセイ集。

 いつか本物を観たいと願い続けてきた一枚が展示されているのを知って出向いたときも、別種の虚しさにつきあたる。期待を裏切られるからというのではない。脳内に保存してあった絵の大きさや色合いとのずれを調整しょうとするあまり、現物を観る喜びをないがしろにしてしまった愚かさに呆れるのである。(「余白の部分」より)

 

   

 

堀江敏幸「回送電車」 <居候>の本質 乗客の不在ゆえに模型よりも軽やかな電車が移動していくときの、一瞬の空気の弛緩

 急ぎの客にはなんの役のも立たず、しかも役立たずだと思われることじたいに仕事の意義がある―

 

   

 

写真は、貝塚市二色浜海浜公園で撮影する。