(再録)C・スクレナカ「レイモンド・カーヴァー 作家としての人生」(中央公論新社・3850円) | 野球少年のひとりごと

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(再録・2021.11.9既出)

一日、雨が降ったりやんだりしていて、眺望できる和泉山脈の麓付近まで雲が下りて来ている。今日も少し早く起きたので一日が長く感じる。1週間近く掛かった、東 理夫「アメリカは食べる。(アメリカ食文化の謎をめぐる旅)」(作品社・3800円+税)を漸く読み終えることが出来た。729頁(1頁の文字数も多い)の大部のものであり、久し振りに熟読玩味といったスタイルの読書となったが、今年いちばんの収穫と考える。読書の醍醐味に大部の(小説なら長編を)ものを読む喜びがあるが充分に満喫出来た。アメリカの各地を巡りながらそこでの「食文化」を味わいながら、クルマでの道中も含めアメリカの主に田舎の風物詩も垣間見ることが出来る。良質のロードムービーを観ているような大変刺激的な読書になった。長田 弘の「アメリカの61の風景」や「アメリカの心の歌」に匹敵するような作品に仕上がっていると思う。あるいは沢木耕太郎の「深夜特急」にも負けないくらいの。お勧めです。読書の楽しみに次に何を読むかがある(そのために生涯を懸けて沢山の書物を買い求めてきた)が、こういうふうに大部のものを読んだ後に少し軽めのものを読むか、それともいまの熱気のままさらに大部のものを読むか迷うところ。とりあえず本箱から探し出してきたのが、同様に743頁(2段組)の大部の、2013年刊行のキャロル・スクレナカ「レイモンド・カーヴァー 作家としての人生」(中央公論新社・3500円+税)と、2005年刊行のこちらは365頁の「ボブ・ディラン自伝」(SB Creative・1800円+税)の2冊である。キャロル・スクレナカ「レイモンド・カーヴァー 作家としての人生」をメインにしながら、「ボブ・ディラン自伝」も並行して読もうかなと考えている。

 

キャロル・スクレナカ「レイモンド・カーヴァー 作家としての人生」 没後25年 崩壊と回復の生涯 ワーキングプアの日常を描いて愛された作家 その文学はどれほどの犠牲のもとに生み出されたのか―

 彼は聖人ではないし、酒を断ったあとも模範的な暮らしをしていたとは言えない。彼はあいかわらず神経質で、偏執的で、ニコチンとマリファナに依存し、ボーイッシュな魅力を持つ愛すべき男だった。(序文より)

 カーヴァーはいわば「自分の身を粉にして」小説を書いた人だ。その挽き臼にかけるマテリアルのひとつひとつを、彼は自分の身の内からもぎとっていった。そこにはもちろん痛みがあった。―村上春樹(解説より)

 NYタイムズ「10 BEST BOOK 2009」選出 苛酷ななかにおかしみさえにじむワーキングプアの日常を描き、圧倒的なオリジナリティを刻印したレイモンド・カヴァー。その文学はどれほどの犠牲のもとに生み出されたのか。/執筆期十年、数百回に及ぶ関係者への取材と綿密な調査に基づく本書は、十代で結婚、深刻なアルコール依存、破産、遅いデビューとその後の窮乏、束の間の栄光と死の予感……さらには担当者によるヘビーエディティング(原稿の大幅な書き換え)の実態を詳述する。/小説を書いていたい、ただそれだけが望みだった一人の男が、日々を生きのび、奇跡のような救済を得て、作家としての人生を手にするまで―崩壊と回復の生涯を鮮やかに甦らせる決定版評伝。

 

「ボブ・ディラン自伝」 世界中から祝福の声続々! 

 僕の大好きな詩人の一人、ボブ・ディラン、ノーベル賞おめでとう。彼はそれに値する―バラク・オバマ

 ボブ、ノーベル賞、おめでとう。なんて功績だ!―ミック・ジャガー

 “わが国の父”。ボブは真北を目指し、荒れ果てたアメリカを歩む人びとに道を示す案内役を務めた―ブルース・スプリングスティーン

 ボブ・ディランのノーベル賞獲得を祝いたい。ピース&ラブ、ボブ―リンゴ・スター

 

東 理夫「アメリカは食べる。(アメリカ食文化の謎をめぐる旅)」 アメリカ料理の謎を紐解く食の百科全書(エンサイクロペディア)!

 アメリカじゆうのどこの食堂でも朝食のメニューの中身がほとんど同じなのはなぜか?

 アメリカ料理に季節感や地方色が希薄なのはなぜか?

 アメリカに発酵食品が少ないのはなぜか?……

 移民国家として独自の文化を築き上げたアメリカ合衆国の食にまつわる数々の謎を、アメリカ文化に精通した著者が、みずからの旅を通じて一つひとつ紐解いていく。

 ほとんど1人きりでアメリカのあちこちを車で旅を続けているうちに、アメリカの「食」は、実は世界のどことも違う方向を向いているのではないのか。または別の方向を目指しているのではないか、としか考えられなくなっていった。……アメリカの食の本質は、そう簡単に見えてこない。おそらく彼らの食は、料理法や味わいや栄養といった側面だけでは捉えきれないのではないか。そして、そういった彼らの食そのもの、また食に対する態度や考え方、食に対する感情といったものを知れば、アメリカという国の真実の姿を案外簡単に理解できるのではないかと思いついた。そう、食はアメリカを理解するごく手っ取り早い、そしてわかりやすいひとつの方法のように思えるのだ(―本書「はじめに―東家の食卓」より)

 

 

写真は、貝塚市二色浜で撮影する。