(再録・2006.9.29既出)
会社の帰り難波のジュンク堂書店で、ベルナール・フランク「日本仏教曼荼羅」(藤原書店・4800円+税)、ひろさちや『「法然」を読む』(佼成出版社・1400円+税)、平川祐弘 「和魂洋才の系譜・上」(平凡社ライブラリー・1600円+税)買う。
ベルナール・フランク「日本仏教曼荼羅」は、一昨日お話したフランクさんの代表的著作である。帯に、「ヨーロッパの東洋・日本学を刷新した最高権威初代コレージュ・ド・フランス日本学講座教授の精髄 日本仏教の諸尊が綾なす曼荼羅」とある。レヴィ・ストロースがこの本の序に「著者は日本学を一新した、しかし彼の業績がもたらす教訓はその域を大きく越えるものである。人文科学全般がそこからインスピレーションを得ることが出来るだろう。」と述べている。インドに発し中国を経ての長旅の果てに日本に辿り着いた仏教。その長旅を通してあらゆる思潮を身に纏った仏教は日本においていかに生きることが出来たか?日本各地を歩き回り独自に集めたお札等数多の図像を、仏教哲理の深い理解から読み解き、民衆仏教がもつ「表現の柔軟性と狭義的正統性の融合」という姿を活写。とある。未知のことを知る喜びに満ちた読書になりそうである。
昨日読了の「お念仏とは何か」(新潮選書・1100円+税)が大変平易に、空也、法然、親鸞、一遍などが念じ、すべてを委ねた六文字「南無阿弥陀仏」そしてそこに刻まれた千年の思想、日本人の信仰のかたちを解き明かしてくれたわけだが、少しひろさちやの著作を読むことで、仏教でありお念仏の理解が深まったらと考えてのことである。昔、仏教・哲学・芸術関連出版社に3年ほど勤めたことがあって、以来学術書あるいは専門書とよばれる類の仏教書には多く接してきたが、ひろさちやの平易さ、分かりやすさの大切がいまならわかる。そういう意味でこの『「法然」を読む』もまことに楽しみである。
平川祐弘 「和魂洋才の系譜・上」は、サブタイトルに「内と外からの明治日本」とあるが、同様に帯に「日本とは何か 西洋の衝撃に対して、近代日本はどのように応答したか?明治と言う豊富な過度期を縦横に論考した画期的名著」とある。近年、この「平凡社ライブラリー」の名著の復刊・収録に関してはめざましいところがある。渡辺京二の「逝きし世の面影」の復刊などまことにタイムリーであった。
いずれにしろ読了後もう一度。
写真は、貝塚港で撮影する。