(再録)リチャード・ブローティガン「愛のゆくえ」(早川書房・680円+税) | 野球少年のひとりごと

野球少年のひとりごと

本のことを中心に、関西学生野球や高校野球のことをつぶやいています。
また、父・洋画家「仲村一男」の作品を毎日紹介しています。

(再録・2020.5.8既出)

午後から、恒例の40分ほどのウォーキングに出かける。途中、運動公園に入る遊歩道からすぐの田圃で野焼きをしている。かなり大きな炎で煙もたくさん出ている。近所から苦情が出ないのかと不思議に思う。ニュータウンの中に田圃がまだ少し残っている。ほとんどの区画は不動産会社が保有し管理しているわけだが、一部、おそらく当地が里山であった頃に近在の農家が持っていた土地が、一般に売り出されずにそのまま田圃として使用されているわけだ。150~600坪ほどある土地に、野菜類を栽培したり泉州蜜柑や柿を植えているところがある。そういう農家の方と親しくなって、将来的にそのような土地をどのようにするかを聞いたことがある。子供たちが結婚し家が欲しくなる頃まで持ち続けるようである。半分冗談であるが、「わけていただくとするとどのくらいですか」と聞くと、わたしらが土地開発組合(不動産会社が管理販売)から購入した半分くらいの価格を提示される。当地に引っ越ししてくる前にその方らと懇意であったなら、予算内で倍の200坪が手に入ったわけだ。

 

帰宅するとアマゾンから荷物が到着していて開封すると、リチャード・ブローティガン「愛のゆくえ」(早川書房・680円+税)が現れる。本書は、藤本和子の翻訳ではなく青木日出夫の訳である。ブローティガンには珍しく恋愛物語らしい。いま読んでいる、ブローティガンの「ビッグ・サーの南軍将軍」(河出書房・780円+税)も、カリフォルニアを舞台にふたりの若者が繰り広げる風変わりな日常生活とその奇妙な結末が、瑞々しく語られ同時期に書かれた「西瓜糖の日々」(河出文庫・780円+税)同様に魅力的である。本書「愛のゆくえ」もブローティガンがどのようにして恋物語を綴るのか楽しみである。

 

「愛のゆくえ」 ここは人々が一番大切な思いを綴った本だけを保管する珍しい図書館。住み込み館員の私は、もう三年も外に出ていない。そんな私がある夜やって来た完璧すぎる容姿に悩む美女と恋に落ちた。そして彼女の妊娠をきっかけに思わぬ遠出をするはめになる。歩くだけで羨望と嫉妬の視線を集める彼女は行く先々で騒動を起こしてゆく。ようやく旅を終えた私たちの前には新しい世界が開けていた……不器用な男女の風変わりな恋物語。

 

 

写真は、東山丘陵で撮影。