(再録)伊藤桂一「兵隊たちの陸軍史」(新潮文庫・629円+税) | 野球少年のひとりごと

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(再録)セブンアンドアイに注文しておいた、伊藤桂一「兵隊たちの陸軍史」(新潮文庫・629円+税)、「秘めたる戦記」(光人社・700円+税)、「黄塵の中」(光人社・540円+税)、「ひまわり勲章」(光人社・650円+税)届く。いま行き帰りの通勤電車で伊藤桂一のものを読んでいる。ここまでで「黄河を渡って」「鎮南関をめざして」「大浜軍曹の体験」「藤井軍曹の体験」「夕陽と兵隊」(いずれも光人社)の5冊を読了した。阿川弘之などの「海軍もの」で知る海軍のしかも将校が中心のものとは大違いで、伊藤桂一のこれらの小説では陸軍の兵隊が主人公。舞台も中国大陸であったりインドシナ半島であったりする。最低でも30キロほどの荷物を背負っての行軍が連続1ヵ月にも亘って続いたり、メートル単位の至近距離の陣地を巡っての肉弾戦といってよい戦いを繰り広げるその凄まじさ。その中で生まれる友情(命がけの戦友となってゆく)、あるいは上官による陰湿ないじめ、生死が指揮官の判断や兵隊自身の状況に応じた判断力・適応力で左右されたりすることが、淡々とした筆致で描かれてゆく。色々な逸話が語弊を恐れずに言えば大変面白くて一気に読める。先の大戦「大東亜戦争」が陸軍に負っていたことが痛感できる伊藤桂一の一連の著作、一読の価値ありである。

先ず、「兵隊たちの陸軍史」。帯に「本書を開くことは後世の義務である(浅田次郎) 元陸軍伍長の作家が伝える軍隊の真実。 我々は、あの戦争を闘った生身の兵隊たちのことを知らない。そして、空虚な戦争論が展開されている-。兵士たちはいかに生活し、いかに戦闘したのか。教練、食事、給与、上下の人間関係、戦闘での名誉心や功績の在りかたまで、日中戦争に一兵士として従軍した著者の実体験と豊富な資料で、露悪も虚飾も避けて、兵隊たちの姿を余すことなく伝える。後世に贈る渾身のノンフィクション。」「ノンフィクション作家 保阪正康さんも大推薦! 本書は私にとって『師』であった。いや昭和史を学ぶ者に一様に『師』となるように思う。(本書『解説より)』」とある。

次が、「秘めたる戦記」。副題が「悲しき兵隊戦記」。帯に「直木賞作家の会心作 戦野に屍をさらした兵隊たちへの鎮魂歌! 七年の長き日々を戦野においた兵隊作家の第一人者が、軍隊の底辺に生きた下級将校、下士官、兵隊のありのままの姿を円熟の筆にのせて鮮やかに描き切った感銘を刻むドキュメンタリー七百枚。苦難の道をあゆみつつも人間の心を失わない人々に、慈愛に満ちたまなざしをおくる詩情あふれる“悲しき戦記”二十三篇。」とある。

そして、「黄塵の中」。副題が「かえらざる戦場」。帯に「直木賞作家の傑作戦記 悲しき兵隊の生と死と愛を綴る珠玉作! 『蛍の河』で第46回直木賞を受け、以来、悲しき戦記の数々を発表、その一作一作で戦旅に生き永らえた者の宿業を果しつつ、兵隊という名の悲しき人間の生と死と愛と憎しみとを、戦場の点綴の中に写して、大いなる感動を伝える伊藤桂一の世界-黄塵吹く戦場裡に突発した奔敵上等兵の真実を描く表題作ほか9篇。」とある。

最後が、「ひまわりの勲章」。副題が「実録兵隊戦記」。帯に「直木賞作家の珠玉戦記 第一級の戦記作家が描く兵隊戦記の醍醐味! 奥深く混沌とした戦場から生みだされる悲しき兵隊たちのそれぞれの人間模様。死と隣り合わせのはるかな戦野で、数多の辛酸をなめながらも戦いつづけなければならなかった男たちを、鮮烈に謳い上げる感動の戦記。みずからの兵隊体験を礎に、戦場での人間群像を慈愛をこめた筆に託した代表作。表題作ほか8篇。」とある。

 


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