【神道つれづれ   116】

※R5.7発行「社報」259号より

 

今、話題の朝ドラ【らんまん】で大忙しの高知県立牧野植物園の藤井聖子さんを講師にお迎えして、先月、日本森林インストラクター会員のオンラインセミナーが開催されました。今回は、その藤井さんのお話から少しだけですが、紹介したいと思います。

 

朝ドラのモデルの本名は、牧野富太郎。富太郎は人を楽しめることが大好きだった。享年94歳。晩年、故郷の高知に植物園を創る話が持ち上がり、大いに喜んだという。

昭和二十八年、園の設立に尽力された方へ送ったハガキに

「暖帯のいろいろな草木を集めて立派に園を計営し、外来の観光客などを 流石は土佐丈の事はあると絶賞する様にしたいもんです」とあり、これを園営として16年間、目標として続けていますと、藤井さんは、最初に紹介されました。

生き生きと誇りを持って語られる姿に、かつての牧野富太郎の人柄を想像してしまいました。

 

富太郎は、日本の植物分類学の父。日本において、富太郎が研究した植物の数を超える人材は、いまだ出ていないそうです。

その理由として、○素質。○時代。明治維新。本格的に近代的な植物分類学が必要とされ始めた。○高知の自然。日本に自生する高等植物(約5600種)中、高知2700種自生。○境遇。岸屋の跡取り息子・佐川生まれ・名教館の存在。があったから。

逆行にも負けず、ロシアのマキシモビィッチと並ぶ 世界に誇る植物学者になれたと話されていました。

 

底抜けに明るい藤井さんは、今も牧野富太郎の植物愛を追いかけておられるようです。そんな藤井さんの座右の銘は「老いと病は気から」「為せば成る」だそうです。

趣味は植物の栽培・自生地探し・植物の撮影。

休日はシカの被害等で、高知の生態系が壊れ始めているため、自然保護・自然を後世に残すために何が出来るかと考えながら、高知の野山を駆け回っておられるそうです。富太郎の様に、自分の好きな事を追いかけ、それが周りの人を笑顔にする。そんな人生になれば・・と話されていました。

 

藤井さんの牧野富太郎の話は、とても興味深く、人としてどんな人生を送るのか。自分とって、得意な事・好きな事。年老いても、誰かを笑顔に出来る事って何かなって、ふと、考えさせられました。

富太郎の人生。見習いたいものですね。