【神道つれづれ 119】

※R5.10 発行 「社報」262号より

 

今年の誕生月に、介護保険課から「介護保険料納入通知書」。翌月、「介護保険被保険者証」が届きました。生前 父母が、この金額について、いろいろと話していたことを思い出し、私も、いつの間にか対象者となったことを自覚させられました。

そんな折、新聞の広告欄に「命を見つめるフォト&エッセー」の作品募集中の文字が目に留まりました。主催は、日本医師会・読売新聞社。古新聞の整理中に見つけました。ネット検索すると、毎年実施されているようでした。

心や時間に余裕が出来た時、人生の節目に振り返り、大変だったけど頑張って乗り越えた時の事や、楽しかった時の事、感動した経験等、普段から書き留めておくのもいいかもしれませんね。

 

さて、今月の社報。原稿を書こうと思っても、何も浮かびません。最近、いろいろな事が重なりすぎて、精神的にも肉体的にも金銭的にもアップアップ。こんな時は、何をやっても空回り。何とも情けないことです。

そんな時、朝ドラの「らんまん」。最終回を迎えました。「らんまん」のモデルは、植物学者・牧野富太郎。ドラマで紹介されたように、豪商の家に生まれながら貧乏生活。才能に恵まれるも学歴のない事で、様々な非人道的な扱いを受ける。それでも、一生を通し、自分の好きな事に没頭し、自分の進む道を貫き通しました。

 

好きな事が、植物だったこともあり、自然からも愛され生かされたのでしょう。どんな時も、出会いや感動・感謝を忘れなかった富太郎。

様々な逆境に追い込まれ、頑張っても頑張っても努力が認められなくても、「あきらめなければ奇跡は起こる」。植物学者の牧野博士は、長い人生をかけて、私たち後世の人々に、こんなメッセージも残してくださったのかもしれません。

牧野博士に関する講演会をまとめた本を読むと、やはり、悔しかったことが、ぽつぽつと出てくることもあったようです。でも、それができたからこそ、奮起して植物愛を貫く強い精神力が生まれたのかもしれないとも思うのです。

全てを受け入れたうえで、植物との出会いに感謝し、小さな声に耳を傾け、植物からもエールを頂いたのでしょう。

 

人間は、都合が悪いときに、嘘を言ったり、誤った行動をとることがあります。しかし、植物は正直です。都合が悪い処では生きていけず、成長することもできません。

それでも、種を飛ばし、ふさわしい場所に新たな命を残す努力をするのです。そして、大地が、その種を受け入れたら、種は芽吹くことが出来るのです。そこに生命があるって、本当に奇跡の連続で愛おしいです。

 

植物を通し、私は、時々、自分自身を植物に置き換えることがあります。

自分がこの世に生まれてきたこと。自分の成長を見守ってくれた自然や周囲の人々のこと。そんな繫がりの中で、生かされ育ってきたこと。

時には、害虫や、気候や餓えにより、瀕死の状態になったかもしれない。それでも、今、ここに根を下ろし、生きていられるのは、この大地や自然、周囲の人々が自分を受け入れてくださったからだと。そう思うと、頑張る勇気が湧いてきます。有難いことですね。 感謝・感謝。