【神道つれづれ 96】

※R3.9発行「社報」237号より

 

日本の戦後の立直しの基礎を築いた人物に、渋沢栄一という方の存在がありました。

現在(令和3年)大河ドラマで放送中ですが、明治神宮建立にも尽力されたとか。

母校の中庭にも渋沢栄一の像がありました。大学創立にも貢献されていたようです。私は在学中、名前だけで、どんな方なのか詳しく調べることもしていませんでした。大変、失礼なことをしたと思います。

 

その渋沢栄一の晩年は、日本に疫病・飢饉など国難の最中。彼は、国家を動かした、知る人ぞ知る人物だったようです。

病床に臥しつつも国の未来を案じ、人生最期の大仕事をしたというお話です。

 

病床から起き上がり、羽織袴に着替えて、国に直訴。

自分が今まで国家に尽くし、多額の税金を納めてきたのは、このような国難の際に備えるため。それを今、使わなくて、いつ使うのか・・と。

この話はNHKBS「英雄たちの選択」という番組で知り、渋沢栄一という方は、とても偉い方だと痛く感動したのを覚えています。

 

その後、大河ドラマがスタート。運命はやれる人にやれる使命を課すものかもしれない。渋沢栄一という人物は、天命に逆らわず、真正面から取り組み続けたようです。

幕末から明治の動乱期の様に、世の中が大きく変わる時、それなりの人物が出現しそれぞれの役割を果たし、突破口を開き、国の存続を助けるの力となるようです。

 

それは、渋沢栄一という人物一人の力ではありません。国難には、志で繋がる仲間・同志が必要で、それぞれの役割を果たし乗り越えていく。人の器や能力・財力の違いはあっても、志が正しく清く、後世や未来に続くものを思案し、その実現のために努力を惜しまない。そして、人事を尽くして天命を待つのです。

そんな時、神様は力を貸してくださるのではないかと。渋沢栄一の生涯を鑑みながら、そんなことをふと考えてみたりするのです。

 

最近、『論語と算盤』という本を読みました。当たり前の事を当たり前に語れることのすごさ。普段から、いろいろなことを考え悩み、実行してきた証が、この本の中にありました。これは渋沢栄一のほんの一面でしかありませんが、興味のある方は、読んでみてください。

 

社会に影響を及ぼした方の伝記というのは、とても興味深くありがたいものです。

私は、小学生の時、学校の図書室にあった伝記をすべて読みました。一日一冊。そこには、好奇心・夢・未来・努力。そして、人との出会いがありました。志を同じくする人。大きな力を持っている人。自分を認めてくれるよき理解者。そんな人々との出会いが、不可能を可能にしていく。

運命とか、神様とか。未来がどうありたいか。そのために、どんな努力をすればいいか。それがブレなければ、全て自分の周りに集まってくるかもしれないと。

 

人間って、人の一生って、本当に不思議なものですね。感謝・感謝。